進学や就職などの新生活シーズンには、引っ越しや一人暮らしを始める人も多くなる。生活環境の変化に伴うさまざまな手続きや、新生活に伴う買い物も増えがちなこの時期は、個人情報の管理に改めて気をつけたいものだ。特殊詐欺などの犯罪に対する撲滅サービスを提供するトビラシステムズ(名古屋市)は、個人情報を狙う「フィッシング詐欺」や関連する犯罪について注意喚起を行い、同社の独自調査データとともに、手口の事例と対策を公表した。
以下は、新生活シーズンに注意したい場面の例という。
・引っ越し前後のタイミングで電力会社や水道局をかたるSMS(電話番号を宛先にしたショートメッセージ)が届いた
・新生活に必要な買い物をしたタイミングで、宅配事業者やEC事業者をかたるSMSが届いた
・クレジットカードや銀行口座を作ったタイミングで金融機関をかたるSMSが届いた
・一人暮らしを始め、インターネットを契約したタイミングで通信事業者をかたるSMSが届いた
今や、生活に密接な存在となっているSMSだが、その利用時にはフィッシング詐欺を警戒することを忘れないようにしたい。
トビラシステムズの調査によると、2023年に確認された詐欺SMSの件数は、前年比で約1.7倍、2021年比で約3.2倍に増加した。また、2023年に最も多く確認されたフィッシング詐欺のSMS(スミッシング)の手口割合は、1位は宅配事業者、2位は金融・決済サービス、3位は通信事業者をかたる手口となっている。
フィッシング詐欺によって起こりうる被害の事例としては、ID・パスワード、クレジットカード情報などの悪用があるが、個人情報を詐取されると、利用するサービスへの不正ログインやクレジットカードの不正利用などの被害を受ける可能性があることを忘れないでおきたい。個人情報の詐取を目的としたフィッシングサイトの中には、IDやパスワードに加え、身分証明書の画像アップロードを求められるものもあるので注意が必要だ。
さらに、フィッシング詐欺で詐取された個人情報はインターネットバンキングの不正送金に悪用される可能性もある。警察庁の発表では、2023年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯は、発生件数が5528件、被害総額は約86億円で、いずれも過去最多となった。
以下にフィッシング詐欺の対策を挙げたので覚えておきたい。
・身に覚えのないメールやSMSが届いた場合、文面に添付されたURLに触らない
・日頃利用するサービスは、公式アプリやブックマークしたサイトから情報を確認
・迷惑SMS対策サービスを活用し、フィッシング詐欺などの不審なSMSを自動で遮断