福島県は9月1日、同県のアクセスの良さや優遇制度を知ってもらい、首都圏の企業に県内への立地を促そうというセミナーを、東京都内のホテルで開いた。内堀雅雄知事や県内17市町村の首長らが出席し、来場した90社余り、約150人の企業関係者に「福島でチャレンジを」とアピールした。
福島県は東日本大震災で大きな被害を受けたが、沿岸部を中心にロボット・ドローン関係や、再生可能エネルギー・水素関連などの拠点が整備され、昨年12月までに934社(県条例に基づく工場設置届け出件数)が進出するなど、復興に向けた動きが進んでいる。
冒頭、内堀知事が「福島県は首都圏に近く東日本での事業展開の拠点として適しており、産学官連携で新たな産業創立を図っている」と現状を紹介。企業立地補助金や復興特区などの手厚い支援で企業が挑戦できる環境を整備しているほか、若い世代に発信する「『感働!ふくしま』プロジェクト」で産業人材の確保にも取り組んでいるとして「運命の仕事は福島にある」「一緒にチャレンジしましょう」と呼びかけた。

続いて「会津」「中通り」「浜通り」の地域ごとに、既に拠点を置く企業の社長が進出の決め手や抱負を語った。医療用内視鏡の開発・製造を手がける会津オリンパス(福島県会津若松市)の蒲山智昭社長は会津を選んだ理由として、「水がきれいで、精巧な伝統工芸品を作る集中力が身についている」ことなどを挙げ、来場者に向け「仲間となってともに成長してほしい」と述べた。
医療用や車載用の精密ゴム製品を扱い、中通りに4工場がある朝日ラバー(さいたま市)の渡邉陽一郎社長は「福島から世界に発信できる企業になりたい」。北海道苫小牧市の會澤高圧コンクリートは2年前、浜通りの浪江町に研究・開発・製造の中核拠点を設けた。會澤祥弘社長は「イノベーションとテクノロジーのかけ算がここならできる。真っ白なキャンバスが目の前にある。われわれの未来に、ぜひ力を貸してほしい」と訴えた。

引き続き、福島県内の17市町村の首長が、それぞれの地元の特長や魅力を懸命にアピール。その後の情報交換会では、企業の担当者らは自治体関係者からパンフレットを受け取ったり、他企業の関係者と名刺交換したりして、情報収集をしていた。
