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がん死亡率28年連続ワースト1位の秋田県で口腔環境改善から健康増進へ 秋田大学とジェクスが連携協定

 乳酸菌入りハミガキなどを製造・販売するジェクス(大阪市)は、秋田大学と、医療・口腔衛生と健康増進に関する包括的連携協力を目的とした連携協定を、12月15日に締結した。秋田大学が有する学術的知見・臨床研究能力と、ジェクスが有する乳酸菌等を活用した製品開発・製造技術を相互に活用し、医療・口腔衛生と健康増進に関する共同研究や社会実装、人材育成等を通じて、地域社会の健康課題の解決と医療水準の向上を図ることが目的。

 ジェクスは2023年6月から、秋田大学大学院医学系研究科 胸部外科学講座 食道外科の佐藤雄亮講師とともに、「乳酸菌入りハミガキジェルおよびマウスウォッシュによる口腔内環境改善と食道癌術後肺炎発生率に関する研究」に取り組んでいる。これまでの研究において、一定の成果が確認されており、L8020乳酸菌には食道扁平上皮がん細胞の増殖を抑制する効果が確認されている。また、口腔内の環境悪化の原因の一つでもあり、体のいろいろな病気につながる歯周病菌の代表であるジンジバリス菌を減少させる効果もわかっている。

 秋田県では、がんによる10 万人当たりの死亡率(粗死亡率)が全国で最も高い状態が続いており、がん対策を推進している。連携協定によって秋田大学とジェクスは協働し、秋田県民の口腔環境の改善をサポート。今後は、リーフレットの配布や講演会の実施、県民を対象としたモニター調査などを段階的に実施していく予定という。

 L8020乳酸菌は、善玉菌を残し悪玉菌を除去する、むし歯菌・歯周病菌の両方に強い乳酸菌。広島大学歯学部の二川浩樹教授によって発見された。L8020乳酸菌は、満80歳で自分の歯を20本以上保ってほしいという思いを込めて、L8020乳酸菌と名付けられている。