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三省堂が辞書のプロが選んだ今年の新語ベスト10を発表 見えにくかった事実を可視化した言葉が1位に

 言葉は生きもの。どんどん変化し、新しい言葉も生まれる。毎年年末が近づくと新語や流行語が発表されるが、こちらは辞書を編む言葉の専門家が選んだ新語の数々。三省堂(東京)による「辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2025』」のベスト10が発表された。

 新語は一般公募を行い、選考委員が一語一語厳正に審査した。大賞に選ばれたのは、「ビジュ」。「ビジュアル」の略語で「見た目、外見」の意味。以前から使用例はあったが、今年はダンスボーカルグループM!LKの歌「イイじゃん」の歌詞から一気に広がりを見せた。使い方もアイドルの容姿にとどまらず、子どもや年配、さらにはペットやラーメンなどまで広がっている。多様な人々やものの表にあらわれるさまざまな美しさを言い表すことばとして、「誰だって輝く容姿を持っている」という見えにくかった事実を可視化した重要な言葉として高い評価を得た。 

 2位は「オールドメディア」。SNSなどの新しいメディアに対し、従来の新聞・雑誌・放送などのメディアを指している。特に昨年からSNSを中心に批判的な意味合いを込めて使われるようになり、ネット検索やAIの普及によって国語辞典も「オールドメディア」と呼ばれることがある。「オールド」ならではの独自性、存在意義を示しつつ、今の状況を反省し、より良く変化して行く必要性も明らかにした点が評価された。

 3位は「えっほえっほ」。メンフクロウのネットミームが話題となった。「えっさえっさ」「えっちらおっちら」などは辞書の見出し語にあるが、「えっほえっほ」は見出しがないという。荷物やかご、ものを運ぶ際や、一生懸命走る場合の掛け声としてあらためて辞書に載せておく必要性を見直したとしている。

 ほかにも「しゃばい」や「権力勾配」、「男消し」のほか、セキュリティー用語として以前から使われていた「共連れ」など、言葉によって危険が明らかにされた例も。「体験格差」など、親の社会的・経済的状況によって、子どもが体験できる機会に格差が生じることを明らかにした言葉も選ばれた。