お財布の都合上“万年エコノミー”の空の旅だと、ベルト着用サインが消えている間にトイレに行ったりジュースを飲みにいったり、後方のスペースで屈伸運動をしたりが習慣になっているかも。でも、「エコノミークラス症候群」は飛行機旅に限らない。災害時の避難所など、体を動かせない場所では同じような症状に注意が必要だ。千葉大学発医療スタートアップ企業のSmart119(千葉市)は、「エコノミークラス症候群」のイラストを公開し、命にかかわる問題として注意を促している。
この症候群は「静脈血栓症・肺塞栓症」といわれ、命に関わる重大な病気。長時間にわたって同じ姿勢でいることから、血管中に血の塊が作られ、血流の悪化、または肺の血管の詰まりなどを生じさせ、痛みや腫れ、呼吸困難に至る。乾燥した機内に限らず、同じ体勢を強いられる場合、たとえば入院の安静状態でも発症するし、物質不足や排せつの心配から水分を控えがちな災害時、災害発生後に避難場所を車中とした場合などに多くの発症が報告されている。
予防方法は、ストレッチと水分摂取。ストレッチは、つま先を伸ばしたり、上げたり、回したりと狭い場所でもできる運動だ。血のめぐりが良くなり血栓を防ぐ。また「ドロドロ血液」と形容される血液の脂質異常は、血栓を起こしやすくする。こまめに水分を取ることで防ぐことができる。
救急集中治療医の見地から、「エコノミークラス症候群」の原因と症状、予防方法を、親しみやすく解説したイラスト。学校、企業、公共機関、町内会などで自由に配布・利用できる。