合同会社杜の都バイオマスエナジー(仙台市)が保有する仙台蒲生バイオマス発電所内に設置された「蒲生なかの郷愁館」が、震災の教訓を後世に伝える「震災伝承施設」として登録された。
同発電所は、東日本大震災の津波により約1500戸あった家屋のうち約8割が流失・全壊し、多くの人が犠牲となった場所に立地している。杜の都バイオマスエナジーは、この地でバイオマス発電を建設するにあたり、元住民の人たちと多くの対話を重ねてきた。その中で、「地域の歴史を残し伝えたい、震災によって土地を離れざるを得なかった人たちの憩いの場にしたい」という思いを受け実現したのが、2024年3月3日に開館した「蒲生なかの郷愁館」だ。
「震災伝承施設」は、東日本大震災に関する震災遺構・震災復興伝承館・祈念碑・慰霊碑などを、震災伝承ネットワーク協議会(事務局:国土交通省東北地方整備局)が認定・登録することで、東日本大震災から得られた個々の実情と教訓を、広く国内外及び次世代に継承することなどを目的としている。
具体的には、「災害の教訓が理解できるもの」「災害時の防災に貢献できるもの」「災害の恐怖や自然の畏怖(いふ)を理解できるもの」「災害における歴史的・学術的価値があるもの」「その他、災害の実情や教訓の伝承と認められるもの」のいずれか一つ以上に該当する施設を、第一分類として認定。加えて、「公共交通機関等の利便性が高い、近隣に有料又は無料の駐車場がある等、来訪者が訪問しやすい施設」を第二分類に、さらに「案内員の配置や語り部活動等、来訪者の理解しやすさに配慮している施設」を第三分類に認定する。
「蒲生なかの郷愁館」は、これらの「震災伝承」「訪問の利便性」「訪問者の理解促進への配慮」というすべての特性を持つ第三分類施設として、仙台市内で5件目の登録となる。