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【大河ドラマコラム】「鎌倉殿の13人」第47回「ある朝敵、ある演説」三谷脚本の妙技がさえわたった政子の名演説

 これまで三谷幸喜が脚本を手掛けた大河ドラマ3作全てに出演している山本耕史(三浦義村役)は、本作における三谷脚本の魅力をインタビューで次のように語っている。

 「大河という世界の中で、確実に磨きがかかってきています。スピード感や、エピソードを省略する際の切れ味とか。いい意味で『視聴者の期待を裏切っていく斬新さ』というか、大河ドラマだったら絶対に描くような史実や表舞台を、三谷さんは描かなかったりするじゃないですか。普通だったら、『弁慶の仁王立ち』のような名場面は見たいはずなんです。でも、そこは描かず、お堂にこもっている義経(菅田将暉)の姿を見せて、『そのとき、彼らは何をやっていたんだろう?』ということを、それ以上に面白く描く。こういうのは、三谷さん以外ではあまり見たことがありません」

 今回の政子の演説を見てこの言葉をかみしめるとともに、改めてその妙技に舌を巻いた。ますます磨きがかかる三谷脚本が、1年にわたるこの物語にどんな形で決着をつけるのか。残るは、全く予想がつかない最終回のみ。かたずを飲んでその時を待つばかりだ。

(井上健一)

北条義時役の小栗旬 (C)NHK