新鮮なイノシシの肉と季節野菜を、みそでとろっとなるまで煮込んだぼたん鍋。イノシシ肉の日本三大名産地の一つ、兵庫県丹波篠山市に今年もぼたん鍋の季節がやってきた。イノシシの肉を使った料理を楽しめる店が多い土地。旅で味わうもよし、ふるさと納税の返礼品にもなっているから、自宅で料理もできる。
丹波篠山の店で扱うイノシシ肉は養殖ではなく“天然”。11月15日に狩猟が解禁となり、本格的なぼたん鍋シーズンがスタートした。市内約40の店にぼたん鍋があるという。丹波栗などの木の実や、丹波マツタケ、穀物を食べ、冬を越すために必要な分だけの脂肪をつけたさっぱりとした肉。煮込むほどに柔らかくなるイノシシ肉は、あっさりなのにコクがあり、かめばかむほどその味わいを増すのだそうだ。
ぼたん鍋という名前の由来には諸説あるが、イノシシ肉をボタンの花のように盛り付けたことからその名がついたとか。明治時代、篠山(現丹波篠山市)に駐屯していた陸軍歩兵部隊第70連隊が、捕獲したイノシシ肉を料理屋に持ち込んだ際、みそ仕立ての鍋として供されたのが始まりだという。丹波篠山の「ぼたん鍋」は2022年に、文化庁が認定する「100年フード」にも選出されている。