特に、関ヶ原の合戦で敵対することから、“犬猿の仲”のイメージが強い家康と三成が、出会った当初は心が通じ合っていたという描き方は面白い。それを、高校の同級生で親友同士でもある松本潤と中村七之助が演じ、本人たちの関係も役を通して透けて見えてくるあたり、配役の妙といえる。その点を踏まえてドラマを見ると、より面白さが増すはずだ。
そしてもう一つ気になるのが、茶々を誰が演じるのかということだ。第30回で子役の白鳥玉季が演じた際も、そのりりしい姿が注目を集めたが、現在は番組公式サイトの登場人物紹介を見ると、茶々の姿はシルエットになっている。大坂の陣で豊臣家を率いて家康と敵対し、ラスボスともいえる茶々のキャスティングは物語の行方を大きく左右する。その発表も楽しみに待ちたい。
今回からオープニングのタイトルバック映像がリニューアルされ、番組のメインビジュアルも一新。物語が新たな局面を迎えたことを印象付けているが、演出統括の加藤拓氏は、番組公式サイトで「徳川家康にとってはこの敗北(秀吉への臣従)こそが新たな『出発点』」とコメントしている。これから朝鮮出兵、関ケ原の合戦、大坂の陣など、数多くの困難が待ち受けているが、それを乗り越え、天下泰平の江戸時代を開くまで、新たな出発点に立った家康がどんな道を歩んでいくのか。秀吉、三成との関係を軸に、その行方を注視していきたい。
(井上健一)