『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』(11月17日公開)
決してほほ笑まない、謎めいた少女モナ・リザ(チョン・ジョンソ)は、12年もの間、精神病院に隔離されていたが、赤い満月の夜、突如として他人を操る特殊能力に目覚める。
自由を求めて施設から逃げ出したモナ・リザは、サイケデリックな音楽が鳴り響き、刺激と快楽に満ちたニューオーリンズの街にたどり着く。そこでさまざまな人々と出会ったモナ・リザは、不思議な能力を発揮して、月に導かれるように新たな世界を切り開いていく。
独特の世界観で注目されるイラン系アメリカ人のアナ・リリー・アミールポアー監督が、オリジナル脚本で手がけた長編第3作。他人を操る特殊能力を持った、エキセントリックでミステリアスな少女モナ・リザが、居場所を探しながら繰り広げる逃走劇を描く。
モナ・リザを利用するシングルマザーのダンサー、ボニー・ベル役をケイト・ハドソンが演じ、そのほかにエド・スクレイン、人気コメディアンのクレイグ・ロビンソンらが共演。撮影は『ミッドサマー』(19)など、アリ・アスター作品を手がけたパベウ・ポゴジェルスキが担当。
「次世代のクエンティン・タランティーノ」と呼ばれるアミールポアー監督によるポップな感覚にあふれたダークなおとぎ話。極彩色に彩られた夜のニューオーリンズのサイケデリックで刺激的な映像が印象に残る。ただ、タランティーノの映画同様に癖が強いので、好みは分かれる気がする。
(田中雄二)