大人になると大きな声を出す機会は減りますよね。せいぜい、ひいきとするスポーツチームの応援のときくらいでしょうか。大きな声を発することは、ストレス解消だけでなく、体内へ多くの酸素を取り込む健康法でもあるそうです。
広島県の呉市は、神奈川県横須賀市と並ぶ海上自衛隊の主要基地がある街です。思わず大きな声が出てしまう呉市をエスコートします。
呉市は本州の地域に加え、下蒲刈島、上蒲刈島、豊島などの島々で構成されています。本州と倉橋島の海峡は「音戸(おんど)の瀬戸」と呼ばれ、風光明媚な観光地です。昭和レトロを感じる音戸の街並みには、広島名物のお好み焼き屋もあります。おいしさはもちろん、そのコスパに思わず「えー!」と驚くことでしょう。
平清盛が一日で開削したと伝わる音戸の瀬戸は、狭いところでは80m~90mほどの海峡です。この狭い海峡には、「日本一短い海上定期航路」として渡船が運航されていましたが、残念ながら利用者の減少や船の老朽化で令和3年に廃止されました。
音戸の瀬戸から呉市の中心街に向かう途中に、珍しい名前のバス停があります。その名も「潜水隊前」。バス停の近くには、現役の潜水艦を間近に眺めることができる世界でも珍しい公園「アレイからすこじま」があります。
再びバスに乗り呉港の中央桟橋付近まで移動すると、出ますよ、きっと、「わー!」という声が。今度は艦体のすべてが見える巨大な潜水艦です。「てつのくじら館」という海上自衛隊呉資料館には、実物の潜水艦「あきしお」が屋外展示されているのです。
てつのくじら館と道を挟んだところには「大和ミュージアム」もあります。館内には10分の1のサイズで再現された大和が展示されています。10分の1でもなお全長は26.3m。史上最大最強の戦艦と称された大和の迫力に、思わず「おー」と声が出ます。
旅のフィナーレは海の上から叫んでいただきます。呉湾のクルーズ「艦船めぐり」です。オープンデッキのクルーズ船に乗り、現役の艦船、潜水艦などを至近距離で見ながら、海上自衛隊に勤務していたというガイドさんによる解説も楽しめるツアーです。あまりの迫力に「ひゃー」の連続です。
大きな声を出した旅の夜には、きっと心地よい睡眠が待っていますよ。
【旅人略歴】
エスコートK…数十年前、旅程管理主任者の1期生として、国内外のツアーをエスコート。現在は生活情報誌の編集長だが、旅の取材だけは自らのカメラを手に、こっそりとデスクを離れ出掛けている。