-3D映画は、一時のブームに比べると下火になっていると思いますが、監督は、今後も3Dで映画を作っていくのでしょうか。また3D映画の将来については、どう考えていますか。
『アバター』の将来以外は別にどうでもいいのですが…(笑)。最初の『アバター』が公開されたときは、世界に3Dが映せるスクリーンは6千しかありませんでしたが、現在は12万のスクリーンがあります。その半分は中国にありますが…(笑)、そのほかに、世界には6万のスクリーンがあるわけです。それだけの影響力があったということです。
3Dは、確かに関心度では少し下火になりましたが、プラットホームやユビキタスとしてはどこにでもあることが重要です。なぜなら、私がまた3Dで映画を作っても、デジタルシネマのインフラに、ベースラインとして3Dが組み込まれたので、どこでも上映できるからです。ほかのフィルムメーカーが3Dを作りたくないのであれば、それはそれでいいと思います。私たちはこれからも3Dを使っていきます。
興味深いのは、この前、最初の『アバター』を再リリースして、2Dと3Dを一緒に上映したのですが、観客の97パーセントが3Dを選びました。これは『アバター』というブランドが、3Dと関連付けられて、最高級品質のものだと理解されている証拠だと思います。
-コロナ禍の影響もあり、観客の映画館離れが叫ばれていますが、映画館で見てこそ輝くこの映画には、映画館に観客を呼び戻すという意図もあったのでしょうか。
パンデミックが起きて、この映画を完成させられるかどうか分からなくなりました。もし、映画館がなくなったり、観客がいなくなったら、この映画を作る意味があるのかとも考えました。そして、映画製作を続ける中で、本当に観客が戻って来る日は果たして来るのだろうかと思いました。この高額な製作費を懸けた映画を、ストリーミングのために作っているのだとしたら、それは悲劇的なことだとも思いました。
幸いにも、私たちがとても時間をかけてこの映画を作ったので、今は多くの観客が映画館に戻ってきてくれました。ただ、この映画がちゃんと収益をもたらすかどうかが問題です。パンデミックがあったことで、映画市場の20パーセントが収縮してしまいましたから。
この映画のストーリーは安全策を取っていません。エンディングもタフでつらいものがあります。経済的な負担を感じながらも、私たちはそうした挑戦をしました。ですので、皆さんには、ぜひ私と一緒に「この映画がちゃんと収益をあげることができますように」と祈っていただきたいと思います(笑)。
(取材・文・写真/田中雄二)