-そういうピリピリした関係から、桃と莉子は徐々に協力関係に変わっていきます。その変化を表現する上で心掛けたことは?
松本 相手の空気をちゃんと受け取りながらお芝居することが、今回は特に大事だったのかなと。お互いの空気感の中で、無理に上げていったりしないというか。だから、「これぐらいまで怒ろう」と事前に決めてかかるんじゃなくて、「こんなに優しく声を掛けてくれるなら、さっきのはあまり引きずり過ぎず、この温度で返そう」みたいな感じで。
玉城 普段と同じといえば同じですけど、それほどお芝居のプランを決めずにやっていました。作ってきたものをただ見せるのでは、面白くないですし。ただ、せっかく会話するんだから、自分の見せ場ばかり作ることにならないように、ということは意識していました。
-桃と莉子の絶妙な距離感の秘密が少しだけ分かった気がします。ところで、2人の出会いのきっかけとなる健太朗についてはどう思いますか。カメラマンの仕事には真剣に向き合っていて、一見彼女には優しいけど、実は女性関係にだらしない男ですが。
松本 そういう才能みたいなものを見せられたら、弱いのかな…とは思いますけど。でも、実際に身近なところにいたら、好きにはならないかな。
玉城 いないでほしいよね(笑)。
-それでは、観客にはこの映画をどんなふうに楽しんでほしいですか。
玉城 ぜひカップルで見て、話し合ってほしいですね。「恋人同士では、見ないでください。」というキャッチコピーですけど、一緒に見て話し合うと、お互いの恋愛観がはっきりすると思うので。
松本 だから「見ないでください」なのかな?(笑)。
玉城 分かっちゃうから?
松本 決定的に違っていたら…。
玉城 でも、早く分かった方がいいこともあるから(笑)。
(取材・文・写真/井上健一)