カメラマンの健太朗(渡邊圭祐)と付き合っているダンサーでイマドキ女子の莉子。その前に現れた健太朗の元カノで、図書館勤務の地味な女性の桃。1人の男をめぐって、なぜか秘密の共犯関係になっていく対照的な2人の奇妙な交流を描いたスリリングな恋愛映画『恋のいばら』が1月6日(金)から公開される。本作で元カノの桃と今カノの莉子を演じたのは、いずれも進境著しい若手女優の松本穂香と玉城ティナ。息ぴったりの初共演を見せた2人が、その舞台裏を語ってくれた。
-元カノの桃と今カノの莉子との不思議な関係が絶妙な距離感で描かれていて、最後まで目が離せませんでした。桃と莉子のキャラクターも魅力的ですが、それぞれ演じた役柄の印象や、共感できる部分などを教えてください。
松本 台本を読んでみたら、桃は説明書きで「部屋がめちゃくちゃ」とか「バスの中でただ見つめている」みたいなことが書かれてあって、人との距離感とか、いろいろちょっと変わっているんですよね(笑)。かと思えば、「そこは、普通なんだ」というところもあって、つかみどころのない感じでした。
玉城 イマドキっぽく見られながらも、実は普通の女の子という莉子の、イメージと内面が違うところは、私自身に似ていると思いました。私も結構、“イマドキ”を求められることが多いんですよね。だから、大人っぽく見えて子どもっぽいところがあったり、クールに見えるけど優しいところがあったりするギャップは分かるなと。台本を読んでいくと、弱さも見えてくるので、最初と最後で印象がすごく変わりました。
松本 共感できる点といえば、2人でサウナに入ったとき、莉子のまつ毛パーマを見て、桃が思わず「いいな」と言ってしまうんですけど、「やってみたら」と勧められると、「勇気ない」って答えるんです。その気持ちは分かるなと。例えば、奇抜な髪形にしてみたいんだけど、やってみたい気持ちよりも、「こう思われるんじゃないか」と、周りの反応を恐れる気持ちが勝ってしまう、みたいなことは私にもあるので。自分に対する自信のなさが表れたその一言にはちょっと共感しました。
-お二人は、今回がほぼ初対面だそうですが、そうは思えないほど息の合った初共演でした。最初のお互いの印象はいかがでしたか。
玉城 お互いに人見知りなので、「どうしよう?」みたいなところから…。
松本 役の2人の関係性と、リアルな私たちの関係性も近いところがあったよね。最初はもっと合わないと思ってた(笑)。
玉城 そう思われているだろうな、と思ってた(笑)。そういう意味では、2人のシーンが多くて、毎日会っている感じだったのがよかったのかも。休みなく、この世界にどっぷりハマれたから。
松本 真逆な感じかと思っていたけど、いざ話してみると、繊細な部分や、かわいらしい部分がたくさんあって、根っこの部分で近いものが見えてきて。
玉城 真逆だったら、ちょっと厳しかったかも。でも、思ったことをきちんと自分の言葉で伝えてくれるし、年齢的にもほぼ同い年だから、対等に接することができて、いい意味でのギャップがあった。
松本 おかげで、最初から普通に話ができた。そういうこと、あまりないんだよね。閉ざす方だから、私は(笑)。でも、合う人にはすごく開く。
玉城 私も、あまりそういうことないんだよね。特別だったのかな。
松本 そうだね。特別(笑)。
-そういうところから、桃と莉子の関係をどんなふうに作り上げていきましたか。
玉城 話をしていくうち、役やお芝居について、共通の言語みたいなものがあると感じられたので、かみ砕いて「こういうことだよね」と、一つずつ確認していく必要がなかったんです。だから、2人で「このシーンは、このぐらいの関係性だよね」とサラッと話すぐらいにして。
松本 そうだね。段取りの直前にちょっと確認するくらいで、あとはその空気感だけでなんとなく通じるものがあったから、あまり話し合ったりはしなかった。
玉城 それで困ることもなかったし、女性の心情として、どこか自分の中にもあるようなせりふが多かったから。細かく決めてしまうと、お芝居がそれ以上、広がらなかったりもするので、それはよかったな。
松本 実際の距離が近い方が、どんなシーンでも変な緊張なくできるしね。
玉城 初対面の2人が喫茶店で会話をする序盤の大事なシーンも、桃と莉子の間はピリピリした空気だけど、そのとき私たちはもう仲良くなっていたので、オフのときはすごい勢いでしゃべっていたし(笑)。
松本 共演者さんとの関係や作品にもよるけど、今回はぎゅっと2人の世界があった方がいいんだろうな、となんとなく思っていたから。