-今回、影響を受けたり、参考にした映画はありましたか。また、日本のアニメについてはどのように考えていますか。
日本のアニメからも大きな影響を受けています。例えば、僕は大友克洋監督の『AKIRA』(88)とともに育った世代です。あの映画のオープニングはとても印象的で、ネオ東京をいろんなアングルで撮影していました。その色彩の感じを、僕はキュレトリアルと呼んでいますが、ファンタジーでありながら、リアルでもあるという、同時に両方の要素を持つことをかなえていると思うので、今回はそれも参考にしました。それから、新海誠監督の『君の名は。』(16)は、全く違う世界から来た人間同士がつながるという物語でもあるので、それについても話し合ったりしました。あとは、90年代育ちなので、周防正行監督の『Shall we ダンス?』(96)が大好きです。あれも背景の違った人物たちが、ダンスを通じてつながる作品でもありますよね。このように、自分の中で、いろんな作品から取り入れたものを参考にしています。
-監督が話す、親子の断絶から和解というテーマでいえば、私はこの映画を見ながら、『フィールド・オブ・ドリームス』(89)という映画のことを思い出しました。
私もあの映画が大好きなのでうれしいです。あの映画は父と息子との関係でしたが、この映画のエンバーは娘で、僕にも娘がいますが、子どもとして、親に対してどんな義務を感じるのか、自分を犠牲にするというと大げさですが、相手のために、自分に何ができるのかということを掘り下げている点で、この映画とも共通していると思います。
-最後に、映画の見どころも含めて、これから見る日本の観客に向けて、何かメッセージがあればお願いします。
こうして作品をお見せできる機会を頂き、ありがとうございます。できれば大きなスクリーンの劇場で見ていただきたいです。皆さんが劇場を出るまで楽しんでいただきたいと思ってみんなで作り上げた作品ですので、たくさん笑っていただいて、家族や友人との共通の思い出として、映画について話し合っていただければと思います。映画を見終わった後で、自分の愛する人ともっと話したい、つながりたいという気持ちになっていただけたら、本当にうれしいです。
(取材・文/田中雄二)