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宮藤官九郎「人間らしく生きる、それだけでいいんじゃないか」 渡辺大知「ドラマに出てくる人たち、みんなを好きになってもらえたら」 ドラマ「季節のない街」【インタビュー】

(C)テレビ東京

撮影時に面白かったことや思い出に残っているエピソードがあれば教えてください。

 宮藤 撮影期間中はホテルから40分離れた所にある仮設住宅セットとの往復だけの毎日でした。撮休の日もなるべく会いたくないなと思いながらも、みんなに会っちゃうんですよね、行く所がないので(笑)。ホテルの目の前のスーパー銭湯に行ったら池松くんに会って、その後にご飯を食べに行ったら荒川良々くんに会って、その後にマックに行ったら増子直純さんがいた時に、もうどこにも行けないよと思ったのを覚えています(笑)。

渡辺 僕もホテルの近くのスーパー銭湯に池松くんと太賀くんと3人で行くのが日課になっていました。太賀くんはお風呂が大好きで、いかにサウナで整うかを頑張っていたので、池松くんと話をしながら入ったりしていて。「出ようか」と言って2人で太賀くんを探すと、外気浴をしながら全部出し切って放心状態になっている姿を見つけたりしました(笑)。

宮藤さんは昨年、本作がディズニープラスで先行配信される際に、「この作品を世に出したら、自分の第二章が始まる」とコメントされていました。今後は、どんな「第二章」を期待させていただけますか。

 宮藤 昨年「この作品を出したら、次は第2章が始まります」と言って、ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)を挟んで、またこの作品が放送されるので、これも第2章ですね(笑)。結局あまり変わらないかもしれませんが、この作品をやったことによって1回リセットされたかなという気はします。やり方やスタンスは変わらないと思いますが、これからまた新しく見たり、感じたものをベースに新しい作品を作っていけたらと思っています。

この作品を通じて、視聴者にどんなことが伝わったらいいなと思いますか。 

宮藤 今年やった「不適切にもほどがある!」は、いろんなことが便利になったけれど、だからといって別にいい時代じゃないなという話なのですが、この作品は、こんなに寒くてつらくて狭い所にいて、いい生活じゃないけれど、人間らしく生きる、それだけでいいんじゃないかなと思ってもらえるといいなと。劇中に「こんなにつらい生活もないけれど、こんな人間らしい生き方もない」というせりふがあるのですが、人間らしく生きるって何か分からないけれど、それだけでいいんじゃないかなと、究極思ってもらえたら。10話まで見ると、それぞれが愛おしく見えるように作ったつもりなので、そう思ってもらえるとうれしいです。

渡辺 このドラマに出てくる人たちの人間臭さみたいなものを含めて、みんなを好きになってもらえたらうれしいです。もし嫌だと思っても、なんで嫌だと思ったんだろうというのを考えてもらえたらうれしいですし、そういうドラマになっていたらいいなと思います。

 ドラマは、毎週金曜深夜24時42分からテレ東系で放送中。

(取材・文・写真/小宮山あきの)

「季節のない街」キービジュアル (C)テレビ東京