-三瓶先生を演じる上で、心掛けていることは?
誰よりも人間的であるということですね。
-NHKの連続テレビ小説「おちょやん」(20~21)などでも共演してきた主演の杉咲さんの印象は?
杉咲さんとの共演はこれで4度目ですが、毎回驚かされます。いつも台本に書かれた以上のやり取りができるので、常に新鮮で。単にせりふを言っているのではなく、本人の思考から生まれた言葉のように聞こえるのが、杉咲さんのすごいところです。並大抵の努力でたどり着けるレベルではありません。きっと、いろんなものを乗り越えながらやっているのではないでしょうか。そういう意味で、うそのないすてきな俳優さんですし、僕はとても相性のいい方だと思っています。
-どんなところに相性の良さを感じますか。
感覚的なものですが、せりふの温度感だったり、芝居の間だったり…。といっても、役者同士だからわかる、みたいな特別なことではなく、人としての相性で、普段の生活の中で会話のリズムが合う人、合わない人がいるのと同じことです。
-座長としての杉咲さんの印象は?
杉咲さんを見ていると、背筋が伸びます。例えば、手術シーンで必要な縫合の練習も、僕と同じ頃に始めて、難しい技術をどんどんものにしていき、今はもう、僕とは段違いのレベルに達しています。それはやっぱり、努力のたまものだろうなと。俳優として、という以前に、そういう杉咲さんの人間性に、みんなついていくんでしょうね。それは僕だけでなく、すべてのキャスト、スタッフが同じ思いでいるはずです。
-三瓶先生を演じる上で原作をリスペクトしているとのお話でしたが、原作のファンに向けてお言葉はありますか。
僕も皆さんと同じ『アンメット』という作品のファンの1人なんですよね。僕だけでなく、この作品に関わる皆さんが熱烈な思い入れを持っていて、一言で言えば「『アンメット』という漫画のファンが作ったドラマ」になっています。だから、原作ファンの皆さんと同じレベルで語れると思いますし、皆さんがこのドラマをどう見ているのかも気になります。それこそ、オフ会のような感じで、「私は『アンメット』のここが好き」、「あなたは三瓶先生のどこが好きですか」と、いろんなやり取りをしてみたいくらいで。
-ファンや視聴者の期待はこれからさらに高まってくると思いますが。
その期待に応えられる手応えは十分ありますし、今までにないテレビドラマを作っているという自負もあります。
(取材・文/井上健一)