-互いの印象や演技についてどう思いましたか。
チャンソン 最初に会った時の雰囲気がとても落ち着いた感じがして、せりふを聞いても違和感がなかったので、もともとこういう人なのかなと思いました。でも(三山)凌輝と3人でお弁当を食べながら1時間ぐらい話したときに、実はそうでもなかったと気付きました(笑)。だからすごく努力したんだなと思いました。
久保 とにかくチャンソンさんは日本語がうま過ぎます。現場でも、私だけじゃなくてほかの皆さんともたくさんコミュニケーションを取ってくださいました。チャンソンさんが、台本にないことや、その場で思ったことを出してくださるので、もう本当にジェホンさんだと思う瞬間がたくさんありました。2人の関係性についても、チャンソンさんが作ってくださる雰囲気があったので、私はすごく助けられました。
-三山凌輝さんとはダンスボーカルグループのメンバーという共通点もありますが、彼の印象は?
久保 実際は底抜けに明るい方で、映画の印象とは全然違うんですけど、人間らしい部分をちゃんと持っている方だからこそ信頼ができました。撮影当時はBE:FIRSTの活動がすごく忙しかったみたいですけど、それを隠さずに全部言ってくださいました。自分も同じようにライブをやっている人間だからこそ、その大変さみたいなものも少しは分かるので、そういう正直なところも魅力だと感じました。
チャンソン 難しい病気の役だったのにそれをちゃんと演じていました。撮影をしながら凌輝はすごい人だなと思いましたし、とても仲良くなりました。
-完成作を見た印象は?
久保 台本を読んでいた時に、月菜が人としてすごく黒く見えるんじゃないかなって不安でした。でも出来上がった映画を見て安心しました。みんなが本音で向き合っているからこそぶつかり合うというのがすごく描かれていて、自分がいないシーンを見て、現場で抱いた感情は間違っていなかったんだと納得できました。見てくださる方もいろんな立場に立って見てくださるのかなと思いました。
チャンソン 完成作を見るのは恥ずかしかったです。もともと自分の演技を見ることにアレルギーみたいなものがあります。個人的に一番よかったのは、最後に良城が月菜を抱き締めるシーンです。人と人との間にある縁が切れずにずっとつながっていたという。いろんな問題を抱えながらも、悪い気持ちを乗り越える。そこまでにどのぐらいの時間が必要なのか…。人間の中にあるそういうものが感じられて最高だなと思いました。
-最後に、読者や観客に向けて一言お願いします。
久保 皆さんが、ご自身の経験を踏まえた上で見ていただくと、人によって見え方の角度が変わる作品だと思います。今は言わないことが美しいとされる中で、これだけ自分たちの心と会話をして、それを表に出す登場人物たちは、ものすごい熱量で生きている人たちだと思うので、その会話を純粋に楽しんでいただけたらと思います。
チャンソン 見どころが多くて、いろんなことを考えて感じられる映画だと思います。こんな映画はどこにもないと思います。
(取材・文・写真/田中雄二)
