藤井聡太七冠(22)の第50期棋王就位式(共同通信社、日本将棋連盟主催、コナミグループ特別協賛)が5月23日、東京都内のホテルで開かれ、将棋ファンら関係者約300人が、節目の第50期で棋王3連覇を果たした藤井七冠を祝福した。
増田康宏八段(27)を挑戦者に迎えた第50期棋王戦コナミグループ杯5番勝負は高知市で2月2日に第1局が始まり、藤井七冠が第1局から3連勝して増田八段の挑戦を第3局で退けた。
あいさつした藤井七冠は「手応えもあったが、増田八段の巧みな作戦の前に守勢に回ることもあり、課題が残った。これらの課題の改善を目指し、副賞(全国コナミスポーツクラブ年間利用パスなど)も活用しながら、来期に向け心技体を鍛えたい。長年続く棋王戦の記念すべき50期の棋王就位は大変光栄だ。私自身もこれから長く活躍していけるようにしっかり精進していく」と4連覇に向け気を引き締めた。

この日の関係者の祝辞は、棋王戦50期の節目を祝うとともに、多くが将棋人気を引っ張る藤井七冠のさらなる活躍に期待を寄せた。
棋王戦特別協賛社であるコナミグループの東尾公彦社長は立ち会った第1局の印象を「共に20代の若い藤井棋王と増田八段の対局は緊張感がある中でも、2人とも泰然とした振る舞いで将棋を指し、感銘した」と振り返った。
また「どの世界もそうだが、若い人の活躍はその世界を活性化し、発展させる。その意味で藤井棋王を筆頭に若い人が活躍する将棋界は今後ますます発展していく」と話し、「コナミグループは若いジュニア(小中高生)の棋士を応援するためジュニア棋王戦を協賛している。近い将来、このジュニア棋士の中から棋王戦に挑む挑戦者が誕生することを楽しみにしている」と述べた。

棋王戦第1局を主催した高知新聞社の中平雅彦社長は「高知での棋王戦開催は21年ぶり。高知新聞ではこの機会に子どもたちに夢と希望を持ってもらおうと、子どもたちが藤井棋王と増田八段にインタビューする企画を考え、お二人に快く応じていただいた」と藤井棋王に感謝した。
その上で「インタビューした高知県内の小学3~6年生の“子ども記者”5人は憧れの棋士を前にかなり緊張していたが、インタビュー後の子どもたちは、将来2人と対戦して勝ちたいと考えたり、将棋に取り組む姿勢が変わったり、将来人を感動・楽しませる人になりたいと思うようになったりと、うれしい感想・報告を聞いている。夢と感動を与えてもらった」と子ども記者たちの成長ぶりを紹介した。

日本将棋連盟の羽生善治会長は「藤井さんと増田さんの2人は若いころから才能を認められていた逸材。この2人がどのような将棋を指すかが注目された対戦だった。結果としては第3局で決着がついたが、一局、一局、とても見応えのある最先端の将棋が行われた」と2人の熱戦を評価。さらに「藤井さんのすごいところは、どんな大舞台でも、どんな場面でも常に最善の一手を突き詰めて考えていく姿勢を継続していることだ」と理想の将棋を追求し続ける藤井棋王をたたえた。

棋王戦を主催する株式会社共同通信社の三土正司社長は「(タイトル戦としては1975年に第1期が始まった)棋王戦50期に当たり、あらためて日本将棋連盟、地方新聞社、将棋ファンの皆さん、そして大きな支援をしていただいているコナミグループの皆さんに感謝します。今後も棋王戦の発展のために応援してください」と述べた。

会場には、藤井七冠の師匠・杉本昌隆八段と親交のあるバイオリニストの山本友重さん、川田知子さんの2人もお祝いに駆け付け、川田さんが藤井七冠に花束を手渡した。山本さんは「日々練習して演奏会ごとにレベルアップを目指す音楽家の1人として、数々の結果を出し続ける藤井棋王には驚嘆するし、尊敬もしている」と藤井棋王の強さをたたえるとともに、「機会があれば、ぜひ演奏会に足を運んでください」とリフレッシュとしての音楽鑑賞を勧めた。

会場では、谷川浩司九段、羽生善治九段、渡辺明九段の歴代棋王らと藤井七冠のトークショーや、山本さん、川田さんのバイオリン演奏会なども行われ、華やかな雰囲気の中、将棋ファンら参加者は棋王戦の節目を祝う催事を楽しんでいた。