SDGs

吟醸酒の副産物をアップサイクル 「食べられるスプーン」を使った試食会を中学校で開催

 廃棄への道をたどるものに新たな価値を見つけて生まれ変わらせるアップサイクル。原料からは想像できないさまざまなモノが生まれている。創価大学(東京都八王子市)が取り組んだのは、吟醸酒の副産物をアップサイクルして作った「食べられるスプーン」だ。再生教育プロジェクトとして市立南大沢中学校で特別授業と試食会があった。

 スプーンは同大理工学部の学生が、八王子産の吟醸酒「高尾の天狗」の製造過程で生じる副産物の米粉をアップサイクルして開発。特別授業を実施した中学校の給食では、この「食べられるスプーン」を試供、SDGsの視点から食品ロス削減や地産地消の意義について中学生らと考えを深めた。

 学生たちはこれまでも地域の企業や専門的技術を持つ企業と連携し、米率20%配合のバイオプラスチックゴミ袋や米粉50%配合のクリップなど、多岐にわたる地域密着型オリジナル製品の開発に成功している。

 研究で扱っている米粉の米ぬかを含む部分には、抗がん作用があることが知られているが、これまで分子レベルでの作用の仕組みは明らかになっていなかった。今回の研究過程で、米ぬかの成分ががん治療の標的分子(紡錘体形成因子)の働きを強く阻害することが実験によって示されたという。この発見は、がん細胞の増殖を抑える新しい抗がん剤開発につながる可能性があり、食品廃棄物を使った持続可能な薬剤や健康サプリメントへの有効活用、地域資源を生かした医療・産業連携モデル構築への展開も期待されている。

八王子市立南大沢中学校での特別授業の様子