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「関係人口」でシンポ 中山間地域フォーラムと全国町村会

6月29日午後、東京・千代田区の全国町村会館

 NPO法人中山間地域フォーラム(会長・生源寺眞一東大名誉教授)と全国町村会は6月29日、「多様な関わりによる新しい農村づくり~実践から探る都市農村共創社会~」をテーマに都内でシンポジウムを開いた。全国の自治体関係者、研究者、企業や非営利団体の運営者ら約180人が参加した。

 農村RMO(地域運営組織)の「しきしまの家運営協議会」(愛知県豊田市)の鈴木辰吉事務局長が、稲作を通じて消費者と生産者が直接結び付き家族のような関係をつくるなどの実践を報告。岐阜県飛騨市の上田昌子総合政策課主査は、アニメ映画「君の名は。」の聖地になったのをきっかけに「飛騨市ファンクラブ」を設立、都市住民が農村の困りごとを手伝うネットワーク「ヒダスケ!」を創設した経緯を説明した。

 また、NPO法人bankup(鳥取市)の中川玄洋代表が、学生ボランティアによる農作業支援を報告。日本航空株式会社の上入佐慶太能登復興事業統括が、学生を1次産業の現場に送り出す「青空留学」などの取り組みを紹介した。

 株式会社雨風太陽(岩手県花巻市)の高橋博之代表は、2カ所以上に住民票を登録して農村と都市をつなぐ「ふるさと住民登録制度」の提案について説明し、農林水産省の朝日健介農村活性化推進室長が新たな農村政策を解説した。

 その後、「実践から探る『都市農村共創社会』への接近」をテーマに、パネルディスカッションを開き、小田切徳美明治大教授が、論点を人、地域、国土の3つに整理した上で、民間企業の役割、フラットな関係、小さく始めて素早く軌道修正する柔軟性、中間支援機構のつなぐ役割などの要点を総括した。