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ハイセンスが同社初のドラム式洗濯乾燥機を発表 大容量・薄型コンパクトで、消費者ニーズを反映させた機能を搭載

ハイセンスジャパン初のドラム式洗濯乾燥機はコンパクト&スリムで大容量

 

 家電製品を購入したいと思った時、自分のニーズに合った商品が世の中にない場合がある。例えばドラム式洗濯機。大容量・高性能・多機能なものが欲しいと思っても、そのタイプは大型で、自分が住むマンションやアパートの設置場所に入らず、購入を断念した経験を持つ人も少なくないはず。最近でこそ、コンパクトな製品が各社から出始めたが、容量・性能・機能・価格といった面でこだわりを持つと選択肢はまだそれほど多くない。そんな中、サイズはスリム&コンパクトで大容量、機能・性能は充実していて価格帯はミドルローという、ドラム式洗濯機の選択肢を増やしてくれそうな新製品が登場した。

 総合家電メーカー、ハイセンスジャパン(川崎市)は9月25日、大容量(洗濯12kg/乾燥6kg)かつ薄型コンパクトなドラム式洗濯乾燥機「HWF-D120XL-W」を10月上旬に発売すると発表した。これは日本市場において同社初のドラム式洗濯機となる。


ハイセンス 「HWF-D120XL-W」

 

 発表に先立ち9月18日、川崎市のハイセンスジャパン本社ショールームでメディア内覧会が行われ、開発の背景や新製品の概要について説明が行われた。冒頭、同社代表取締役社長の張 喜峰氏があいさつ。「われわれは今後10年間のうちに日本市場で白物家電ブランドのトップ3に入ることを目指す。日本の消費者のニーズを収集し、その意見をわれわれの商品開発に生かし、継続して新しい商品を出していきたい」と白物家電市場への意欲を語った。

 日本ではテレビのイメージが強いハイセンスだが、グローバルでは総合家電メーカーとして確固たる地位を確立しており、洗濯機も7カ国に開発拠点を置き800万台を生産、いくつかの国の市場ではトップクラスのシェアを持つという。2025年のIFA(ベルリンで開催される世界最大級の家電の国際見本市)でも、ハイセンスの洗濯機は数々の賞を受賞している。

 であれば、ハイセンスが日本市場に初めて投入するドラム式洗濯機もすでに海外で高評価の製品の流用かと思いきや、今回の新製品は日本の消費者のニーズを徹底的に洗い出し、一から開発したオリジナルな商品だという。

 消費者のニーズとして同社が注目したのは、「ドラム式洗濯機購入時の重視傾向」(2024)という調査データ。そこで最も重視されていたのは「液体洗剤・柔軟剤の自動投入」機能だった。それに加え同社が着目したのは、直近3年間で重視傾向が高まっていた①本体寸法(設置性)②乾燥容量(洗濯容量ではなく)③乾燥フィルター掃除④乾燥方式(ヒーター式かヒートポンプ式か)、この4つの項目だ。 

 それらの消費者ニーズをふまえ、「本体サイズ」「洗濯・乾燥容量」「乾燥の仕上がり」「使い勝手」に重点を置いて開発されたのが、新製品「HWF-D120XL-W」だ。では、どんなモデルになったのか、具体的に見ていくとしよう。

 

ユーザーの変化する生活環境に寄り添う「ダウンロードコース」機能

  • 大容量かつ薄型コンパクト

新製品のメインの訴求ポイントの一つが「薄型コンパクトスリムボディ」。外形寸法は、幅598mm×奥行き630mm×高さ1007mmで、60cm×60cmの市販品最小サイズの防水パンにも置けるコンパクトさだ。ドラム式洗濯機の場合、狭い洗面所だと、扉がせり出し開閉しづらいとか、部屋の扉が開けにくいといった問題が起こりがちだが、これなら置ける可能性が高まりそうだ。そして、このサイズでありながら、洗濯容量は大容量12kg、乾燥容量は充実の6kgを達成している。

奥行きは630mmで、60cm×60cmの市販品最小サイズの防水パンにも置ける

 

  • ヒートポンプ乾燥方式

 乾燥は、ユーザー調査から容量と仕上がりを重視しており、やさしくしっかり乾かすヒートポンプ乾燥方式を採用。約65℃の低温で衣類にやさしく乾燥し、衣類を舞い上げシワを抑えながらしっかりふっくら仕上げるという。内覧会では、天日干しタオルとヒートポンプ乾燥時タオルとの比較も紹介され、天日干しはタオルのパイルが寝てしまいカピカピになって厚みがないのに比べ、ヒートポンプ乾燥では手触りが柔らかく厚みもあるのが確認できた。

ヒートポンプ乾燥方式を採用

 

 

  • 洗浄力

  洗濯機の基本性能である洗浄力は、水平ドラムと3つのリフターが衣類を攪拌(かくはん)して洗浄。ドラム式本来の「たたき洗い」(槽の上から下に落として洗う)、「ゆらゆら洗い」(やさしく洗う)、「遠心洗い」(槽洗浄のみ)の3つの洗濯方式を搭載。温水洗浄も搭載しており、ガンコな汚れにもしっかり対応。4段階の水温設定ができるので黄ばみや皮脂汚れなど、衣類に合わせた洗濯が可能だ。

4段階の水温設定ができる温水洗浄を搭載

 

  • 選べるダウンロードコース

 ユーザーの“変化する生活環境に二人三脚で寄り添う”をコンセプトに開発されたのが、スマホアプリを使って新しい洗濯コースをダウンロードできる「ダウンロードコース」機能。Bluetoothでスマホと洗濯機をペアリングし、「スポーツウェアコース」「ベビー衣類コース」「洗えるスーツコース」など、8つのダウンロードコースのうち3つを洗濯機に格納することができる。コースを入れ替えることで、自宅の洗濯機がライフスタイルの変化に合わせて進化し続けるというわけだ。

 各コースは、洗剤の自動投入、3つの洗濯方式、4つの水温設定などさまざまなパラメーターを組み合わせて実行。例えば「ランジェリーコース」は、洗剤自動投入と生地を傷めたくないときの「ゆらゆら洗い」を組み合わせることによってやさしく洗い上げることができる。「泥汚れコース」は業界初ではないかという3度洗いで徹底的に汚れを落とすコース。半分の容量の洗剤で1回目、2回目を洗い、3回目に標準の洗剤を投入することで、通常の2倍の洗剤で3度洗い。3回目は温水洗浄になる。開発者がこだわって作ったのが「タオルリセットコース」。洗濯後のタオルがゴワゴワに感じる時があるが、これはタオルに蓄積残留した柔軟剤や洗剤のカス、皮脂汚れなどの仕業だとか。それらを、洗剤と液体酸素系漂白剤、温水洗浄で徹底除去し、買った時のようなふんわりしたタオルに可能な限り復元するコースだ。

ダウンロードコースの選択はスマホ画面で

 

  • 4つの“自動”と2つのフィルター

 消費者のニーズを重視して開発されたという本機は、当然のことながら「液体洗剤・柔軟剤の自動投入」機能を搭載。そのほか、清潔を保つための3つの自動機能を装備した。すなわち、すすぎの際に洗濯槽を高速回転させ、内槽と外槽の汚れや洗剤残りもしっかり洗い流す「自動槽洗浄」、洗濯槽の内側はもちろん手の届かない裏側に付着した水分も乾燥させカビや臭いも防ぐ「自動槽乾燥」、糸くずやホコリがつきやすい熱交換器を水流で洗い流す「自動熱交換器洗浄」だ。さらに念入りにという人には、マニュアルで槽洗浄と槽乾燥も可能だ。

 洗濯機を快適に使うには毎日のお手入れも重要。タオルの洗濯量が多い日本の家庭では、洗濯時に糸くずやホコリが多くなりがちだが、本機には独自で開発した2つの糸くずフィルターを搭載。「排水フィルター」は洗濯時に出た糸くずやホコリを、「乾燥フィルター」は乾燥時の糸くずやホコリをキャッチし、どちらも簡単に捨てられるのでお手入れもラクラクだという。

右が天日干しのタオルで、左がタオルリセットコース使用時のタオル。タオルのふんわり感がリセットされる

 

 日本市場では同社初のドラム式洗濯乾燥機だが、開発にあたって他社の製品をまねしたりミックスしたりというアプローチは避け、ハイセンス独自の考え方で、攻めた作り、とんがった作りをコンセプトにしたという。「HWF-D120XL-W」の価格はオープン価格で、店頭予想価格は税込み16万8000円程度。同社は、2026年以降もドラム式洗濯乾燥機のラインアップを拡大し、複数機種でドラム市場に展開していくと表明している。ドラム式洗濯機を購入する際に選択肢が増えることは消費者にとって喜ばしいことだといえるだろう。

洗剤・柔軟剤を自動投入可能

 

3つの自動機能でお手入れもおまかせ