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ヘルメット着用率は3割に満たず 共栄火災が「自転車の利用実態と安全運転に関する意識調査」

 2023年4月から自転車利用時のヘルメット着用が努力義務化された。その実践状況はどうなっているだろうか? 共栄火災海上保険(東京)は、5月の「自転車月間」に合わせ、「自転車の利用実態と安全運転に関する意識調査」を実施した。月に1回以上、自転車を利用している全国の20歳以上の男女1100人を対象に、インターネットを通じて4月12日~15日にかけて行った。

 同社が2021年から毎年実施している調査。日常生活の移動手段としての自転車の利用実態や、各地域で施行が進められている自転車保険への加入を義務付ける条例についての認知度・自転車保険への加入状況を明らかにし、自転車事故を未然に防ぐことを狙いとしている。今回の調査では、自転車や電動キックボードのシェアリングサービスに関する新たな項目も加えた。

 自転車の利用頻度は「ほぼ毎日」が31.6%で最多。「月に数回程度」を除くと、9割近く(86.4%)が 週に1回以上、自転車を利用していると答えた。20代では「通勤・通学」、60歳以上は「生活圏内での利用」が最も多かった。用途は異なれど、自転車は世代を問わず日常生活に欠かせない移動手段であることがうかがえる。

 

 

 自転車利用時のヘルメット着用率について、2023年4月に努力義務化された後の7月に行われた警察当局での全国調査では13.5%だったが、今回の調査では24.9%。上昇傾向がうかがえるが、まだ3割に満たない結果だった。一方、「着用している」(24.9%)と「着用していないが、今後着用したい」(32.7%)を合わせると約6割がヘルメット着用に前向きな回答をしていた。特に20代(66.2%)と60歳以上(67.1%)で高い結果となった。

 

 

 日常生活での移動⼿段は、「⼀般車・シティサイクル」が54.2%と過半数を占め、「電動アシスト車」は22.3%。「電動キックボード」の利用者は全体の1%未満とまだまだ少数派。電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」として、新たな交通ルールが適用されているが、その具体的な内容の認知度について、少数派の利用者たちに尋ねたところ、「2人乗りの禁止」が60%、「ナンバー登録が必要」「飲酒運転の禁止」「ヘルメット着用の努力義務化」「車道通行の原則」がそれぞれ40%、「運転免許が不要」「16歳未満の運転禁止」「自賠責保険への加入義務」は20%にとどまった(複数回答)。

 

 

 「自転車や電動キックボードのシェアリングサービスが普及していますが、利用したことがありますか?」という問いに対しては、「ほぼ毎日」(5.1%)、「週に数回程度利用する」(7.4%)、「月に数回程度利用する」(4.9%)、「1回以上利用したことがある」(9.5%)を合わせ、全体で26.9%が利用したことがあるという結果だった。年代別では、20代は半数以上(51.4%)に利用経験がある一方、年代が高くなるにつれて利用したことがない割合が増えた(40代:76.2%、50代:88.1%、60歳以上:91.3%)。

 

 

 自転車で人にけがをさせたり、物を壊したりした場合の保険(自転車損害賠償責任保険等)についても聞いた。自治体ごとの「自転車保険加入の義務化」については、69.1%が「知っている」と回答。前回61.3%、前々回60.7%と比べ、認知度は年々高まっているようだ。昨年(前回調査)では20代(71.2%)が 最も認知度が高かったが、今回の調査では50代(75.7%)、60歳以上(75.8%)がいずれも7割を超え、世代を問わず認知が広がったことがうかがえる結果となった。

 

 

 自転車保険の加入については、回答者全体の65.5%が「加入している」と回答。加入のきっかけは「自分(もしくは家族)が加害者になった時に備えて」(47.6%)、「自治体で法制化され、義務付けられたため」(46.6%)がそれぞれ約半数だった。加入しない理由については、1位「保険料が負担になるから」(47.3%)、2位「手続きが面倒だから」(19.1%)、3位「義務化されていないから」(17.2%)と続いた。

 

 

 環境への影響や経費面の負担が少なく、便利であると同時に、重大な事故とも隣り合わせの自転車。自分が使わなくとも、今後、身内や周囲の若い世代で電動キックボードの利用率も高まっていく可能性がある。自転車月間の5月、自転車の安全な利用や万が一の事故への備えなどについて、家族で話し合ってみるのもよいかもしれない。