SDGs

浜辺を清掃し空手のけいこ  海の環境保護支援にハイセンスも協賛

 浜辺をきれいにして、砂浜で楽しく体を動かす。11月11日(土)に、江の島の西側にある神奈川県藤沢市の片瀬西浜海岸で「浜辺で空手体験&ビーチクリーン!」のイベントが開かれた。主催はNPO法人の湘南ビジョン研究所と一般社団法人日本ブルーフラッグ協会(ともに代表理事は片山清宏さん)で、電器メーカーのハイセンスジャパンが協賛した。

▽増え続ける海のゴミ

 晩秋になり海から吹いてくる風は冷たさを増しているが、11日のイベントにはハイセンスジャパンの社員を中心に約20人が参加。トングと袋を手にゴミを拾い海岸を清掃した後、伊藤由佳莉4段の指導で空手の型を習った。突きや蹴りの基本から始まり、防御から攻撃の連続技まで、たっぷり1時間近く体を動かした。体が温まってくると、海風も心地いい。最後は、海の環境保護を訴えるために、片山さんがクイズ形式で現状を説明した。現在、世界の海で流れているプラスチックの総量は800万トンに上ること、2050年にはプラスチックのごみの総量がサカナの量を上回ること、ペットボトルが完全に分解するには400年かかることなどが分かると、参加者からは驚きの声も上がっていた。

▽ブルーフラッグ目指す活動

 片山さんらの活動の目的は海の環境保護で、具体的には「海を守り、未来をつくる」が標語の「ブルーフラッグ」の獲得。国際機関が設けた多くの厳しい基準をクリアすると「きれいで安全で誰もが楽しめる優しいビーチ」と認められ、ブルーフラッグを獲得できる。1985年にフランスで始まった制度で、日本では片山さんらが2011年から取り組み、16年に鎌倉市の由比ガ浜海水浴場と福井県高浜町の若狭和田ビーチが初めて認定された。これまで、この日の会場だった片瀬西浜など全国で11のビーチとマリーナが、ブルーフラッグの認定を受けている。世界では51カ国、約5000カ所以上が認定されているそうだ。

 ハイセンスジャパンでは21年夏からこの活動に協賛している。同社の石橋和之マーケティング部長によると、中国本社の漢字表記「海信」が含まれていることもあり、ブルーフラッグ取得を目指す活動が、海がテーマのSDGs(持続可能な開発目標)で、かつグローバルということで、同社の理念にも合うことから支援を始めたという。「社員に社会の課題を意識してもらい、活動を根付かせるのが第一段階。啓蒙(けいもう)を含め一般の人も巻き込んだ活動にすることが第二段階になる」と、今後の展望を話した。

▽SDGs実現へ二人三脚

 48歳の片山さんは、片瀬西浜のすぐ近くの出身で、高校時代からサーフィンを楽しんでいた。社会人になり海の環境保護の重要性を訴え、公務員の職を投げうって、自ら活動の主体になった。ここまで資金も乏しく、困難の連続だったそうだが、SDGsの意識の高まりに伴い、ハイセンスジャパンのように協賛企業も現れた。「しっかりした企業が評価してくれると、対外的な信用になり、さらに理解者が増えるという好循環につながる」と感謝する。30年までに、国内100カ所でブルーフラッグ認定を受けるのが片山さんらの目標。NPO法人とハイセンスジャパンの二人三脚が続く。