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水災の罹災証明書発行、もっと迅速に 自治体向けに民間企業5社が連携し、実証実験を実施

 

 NTT東日本、NTT西日本、三井住友海上火災保険、MS&ADインターリスク総研、ESRIジャパンの5社が協業し、水災発生時に罹災証明書発行の効率化に向けた概念実証を実施し、結果を発表した。

 近年、自然災害が多発する中、自治体職員の減少によって、調査員が不足し、深刻な課題となっている。

 被害認定調査を効率化・迅速化するため、2024年5月に内閣府指針が改訂され、第1次調査では浸水深などの情報をもとに、罹災証明書の発行を行うことが認められた。

 今回の実証実験は、NTT東日本が自治体向けに提供する災害対応システム「被災者生活再建支援システム」に、三井住友海上の「被災者生活再建支援サポート」で自治体に提供する水災の損害調査情報のデータ連携を行い、罹災証明の早期発行を目指すことを目的として行った。

 実証実験は京都府と京都府精華町が協力し、7月29日に京都府庁舎で行った。

 通常、自治体が水災の被害認定調査を行う場合、1件につき15~30分程度を要するが、実証実験では、30分で10件の判定を行うことができた。実証実験の結果を受け、各社で協議したところ、データ連携によって、自治体側の作業効率化が期待でき、罹災証明の早期発行につながることが確認されたという。

 今後各社は、他の被災者生活再建支援システムを導入している自治体と意見交換しながら、具体的な実装と運用に向け、基準を精査し、課題解決に向けた協議を継続的に実施する、としている。