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専任スタッフが境界管理に従事 かが森林組合(石川県) 赤堀楠雄 林材ライター 連載「グリーン&ブルー」

境界と見られるラインにテープを張る。境界が明らかになれば位置を記録し、後日、正確な測量を行ってデータ化する

 石川県南西部の加賀市、小松市、能美市、白山市を管轄区域とする、かが森林組合(本所=小松市)には全国の森林組合・林業会社でも珍しい境界管理室というセクションがある。

 林業の不振や生活スタイルの変化により、所有している森林への関心を失ってしまう林家(りんか=森林を所有している人・世帯)が増え続けている。それに伴い、境界が分からない、あるいはあいまいな森林が増え続け、森林を適切に管理する上での大きな支障となっている。

 そのため、各地の森林組合や林業会社の多くが境界管理に力を入れているが、ほとんどの場合、そうした仕事は他の業務との兼務で行われている。

 一方、かが森林組合の境界管理室には専任のスタッフ5人が配属され、他の業務には一切関わらず、組合員が所有している山林の境界を確定するための仕事だけに従事している。その内容は所有者からの聞き取り、隣接する森林の所有者も交えた現地での立ち会い、測量、データ化、報告書作成といったものだ。現地立ち会いは週末になることも多く、管理室の勤務カレンダーは他のセクションとは異なるものにならざるを得ない。

 5月23日に白山市坂尻町で行われた現地立ち合い調査には、対象となる森林の所有者15人が参加し、4人の管理室スタッフとともに急勾配の林地を歩きながら、公図(山林の公図はデータが古く、参考にしかならない)や父祖から伝えられた情報、目印の木や石などを頼りに境界を探索した。

 この地域は昔からタケノコやワラビといった山菜採りが盛んで、参加者の中には今もよく山に来ているという人もいた。そのため、すんなりと境界が明らかになるケースもあったが、隣接する所有者同士が記憶を突き合わせても分からない場合もあり、後者は管理室で案を作成し、後日改めて確認し合うことになった。

 午前9時前から午後1時まで行われたこの日の調査で境界が明らかになったのは、対象地10ヘクタールほどのうちの3ヘクタールほど。境界が決まり、データとして保存されれば次の世代に安心して所有林を引き継げると、参加者からは管理室の事業に期待する声が聞かれた。

 管理室では2025年度には635ヘクタールの境界を確定し、26年度も677ヘクタールでの確定を目指している。

赤堀楠雄(あかほり・くすお)林材ライター。1963年生まれ、長野県在住。林材新聞社(東京)勤務を経て99年に独立。森林・林業・木材・木造住宅などに関する取材、執筆を行う。著書に「林ヲ営ム〜木の価値を高める技術と経営〜」(農文協)など。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.22からの転載】