災害時の停電への備えをはじめとした中小企業の事業継続確保策を考える催しが9月11日、東京都内で開かれ、熊本県エネルギー政策課長や九州の中小企業経営者らが、災害に備えた中小企業の「エネルギー自立経営」確立の重要性を訴えた。
この催しは再生エネルギー電力の活用拡大を目指す一般社団法人「再エネ100宣言RE Action協議会」(東京都千代田区)の主催。同協議会理事の小山貴史・エコワークス社長は「再生エネルギーの活用拡大は脱炭素、社会貢献という意味だけではなく、中小企業の事業継続性を確保する、極めて経済合理性のある取り取り組みであることを被災地の事例を通して理解を深めていただきたい」などと話した
38人が死亡し6万棟を超える住居が被害を受けた7月28日発生の熊本地震の被害状況をオンラインで報告した熊本県エネルギー政策課の霜出豊和課長は「地球温暖化や東日本大震災における(2011年3月の)福島第一原子力発電所の事故以来、再エネの存在感が高まっている中、熊本県は国に先駆けて、50年までに県内の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにすることを宣言している。また19年12月には都道府県としては最初に(使用電力を再生エネ由来電力に100%転換することを目指す)協議会の宣言に参加するアンバサダー(応援団)に就任した」と再エネ普及を重視する県のエネルギー政策を説明。
その上で「10年前の16年熊本地震では屋根置き太陽光発電設備や蓄電池、コージェネレーションシステム(熱電併給システム)など分散型再エネ施設が、停電した被災地でも自立運転して地域の電力供給源になった」良き先例があったが、「今回の7月28日の地震による停電で事業を休止する事業者はあり、改めて平時から災害に備えて事業を継続するための体制を整えておくことの重要性を再認識させた」と述べ、災害時の事業継続性を向上させる再エネ活用の大切さを強調した。

7月の熊本地震で支店の一部が停電の状況に陥った、太陽光発電施設設置工事なども行う熊本市の特定建設業「熊本利水工業」の田中祐治社長は、県内で実際に確認した、省電力機器のエコキュート(家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯機)の倒壊状況などを報告。「エコキュートのタンクにはおよそ400リットルの水があり、災害時に緊急用の水として使えるが、倒壊しては使えない。太陽光発電施設の一部も地震で破損した例も確認した。9月1日までに、停電時の太陽光発電の使用法や地震による太陽光発電量の低下など太陽光発電関係の当社への問い合わせは4件に上った」と話した。
宮崎市の包装資材商社「山﨑」の山﨑正嗣代表取締役は、九州で被害が大きかった22年9月の台風14号で発生した自社営業所の停電、断水の状況などをオンラインで説明。「いずれの企業もそうだが、電気が通らないと仕事にならない。当社では停電でシステム上の通信が不能になり、受注業務が一時停止してしまった。このため社のプラグインハイブリッド車(HV)2台を非常用電源にして必要最低限の電力を確保し、取引先への出荷・受発注ラインを何とか維持し、危機をしのいだ」と語った。
さらに「災害に対してしっかり準備していなかった。(受発注の通信)システム管理が盲点だった」と指摘。非常用電源の重要性を改めて認識したとして「九州内の当社の八つの営業拠点施設に給電可能車両(HV車など)を配備する」方針を明らかにした。







