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住友ゴム工業、タイヤ開発技能をAI化 日本電気と協業で熟練設計者が持つノウハウをデータ化

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住友ゴム工業×NEC 「グラフAIを活用することで、これまでのAIではブラックボックスだった思考プロセスを見える化」

 

 住友ゴム工業 (神戸市)はこのほど、日本電気(NEC、東京都港区)と協業で熟練設計者のタイヤ開発ノウハウの人工知能(AI)化に成功した、と発表した。タイヤ開発過程におけるテストドライバーのタイヤ評価を巡り、熟練設計者とドライバーのやりとりの部分を、AI学習可能なデータに体系化したという。

 従来この部分の評価は、ドライバーが擬音(ぎおん)で評価結果を表現したりするなど、ドライバー各人の評価表現が異なることから、ドライバーの評価を正確に読み取る熟練設計者の経験、“匠(たくみ)の技”が不可欠とされていた。

 今回、この熟練設計者が持つノウハウを可能な限りデータ化して、AI学習可能な体制を整えた。熟練設計者から経験が少ない設計者への技能伝承のほか、AI学習の深化に伴い評価の改善改良などに取り組めるという。

 近年、製造業では少子高齢化に伴い人手不足や熟練技術者・設計者の高齢化が進み、熟練技術者らが持つ技術・経験・ノウハウの次世代への伝承が課題になっている。住友ゴムとNECは「AIで答えを出すだけではなく、熟練設計者の思考プロセスを見える化する。若手設計者の理解を深め、真の技能伝承を目指す」としている。