“無差別コミュニケーションの時代”といわれる。本は読まなくても、ネットで大量の言葉にさらされ、家から一歩も外に出なくても世界中の不特定多数と“対話“できる時代。その源となっている「言葉」をもっと探求できる『言葉を愉しむ 人生の深みが増す言霊の力』(齋藤孝著、河出書房新社、税込1100円)が発売された。
書き言葉と文明は、ほぼイコールの関係にあった、と著者。言葉自体はやりとりされていても、急速に文明が発展するのは文字が使われてから。何々文明といわれるものは皆文字とセットで発展しているからだ。そして言葉は“言霊”といわれるように、特別な力を秘めている。特に私たちが日ごろ使う漢字のような表意文字は、アルファベットのような表音文字と比べて、文字自体が意味を持っているという特徴がある。
現代のわれわれも本を読んだり、歌を聴いたり、自ら情報を発信したりと、周囲はいつも言葉であふれている。そこで語彙(ごい)力の高め方、自己の磨き方、発信の仕方など、言葉を出発点にして人生を豊かにする方法を探る一冊だ。