
フランスの有名なオルセー美術館のように、かつての駅舎が今も別の形で美しく生き残っている例もあるが、役目を終えて静かに消えていく駅も多い。なぜ消えていったのか、どこにそんな駅があったのかが分かる『鉄道“消えたターミナル”を歩く』(鼠入昌史著、イカロス出版、税込み1980円)が発売された。
鉄道路線の始発・終着駅、ターミナル。必然的に旅立ちの場や出迎えの場になることが多く、時間を問わずにぎわう場所だ。だがそんなターミナルも、時代の流れとともに廃止されたり、ターミナル機能を失ったりしたものも多い。たとえば“帝都”で一番の繁華街の真ん中にあった「万世橋駅」、京橋駅の影でひっそりと消えた浪速の夢「片町駅」、日本一の“石炭のターミナル”だった「夕張駅」などだ。そこは今どうなっているのか。なぜ消えねばならなかったのか。資料をもとに実際に現地を訪れて知られざる歴史を解説している。
歴史好き、鉄道好きはもちろん、街歩きが好きな人にとっても発見の多い一冊になるかもしれない。