カルチャー

木と人間の関係を振り返る 奈良県立民俗博物館で「吉野林業の世界」展

 

 身の回りにある木製のものに魅力を感じるのは、無意識に自然の木の温もりに包まれているからかもしれない。木と人間の生活をつないでくれている林業の世界で、使われてきた道具たちを展示する奈良県立民俗博物館の企画展「吉野林業の世界」が、奈良県立美術館で9月13日(土)~11月16日(日)まで開かれる。林業の技術の伝承や、山の神への祈り、暮らす人々の思想などを振り返り、先人たちの“生活の知恵”を改めて感じることができる。

 吉野林業用具と林産加工用具の展示を通じて、「木」を利用した人間生活を伝えるのが目的。木を切り倒すことなどに用いる林業用具616点、切り出した木を加工した道具などの林産加工用具1292点、あわせて1908点で、2007年に重要有形民俗文化財の指定を受けている。

 民俗文化財には制度上国宝指定がないが、これらは国宝と同等の価値を持つ。奈良県には林業の道具が多くそろっており、同じように見える道具でも一点一点、用途にあわせて違っていたり、手作りで繊細に作られていたり、工夫が凝らされているのが見どころ。

 また、10月5日(日)・19日(日)には14時から、奈良県立民俗博物館学芸員によるギャラリートークも予定されている。

 奈良県立美術館の開館時間は9時~17時(入館は16時まで)。休館日は9月16日(火)・22日(月)・29日(月)・10月6日(月)・14日(火)・20日(月)。観覧は無料(別途入館料が必要)。