日本製紙クレシア(東京)は、「涙」をテーマにした短歌を募集した「クリネックス涙腺短歌」の受賞作品を、このほど発表した。約2カ月間の募集期間に寄せられたのは、4万4705首。当初の想定だった6500首の約7倍に上る応募が集まり、同社は、短歌への関心の高まりをうかがわせる結果と見ている。
最優秀賞作品(賞金30万円)は、「そこだけが床は四角く色濃くて確かに猫は十二年いた」。亡くなった猫がいた場所だけ、床に濃い色が残っている――。わずか31文字の中に、長年ともに暮らした猫の姿と、その不在を感じさせる情景を浮かび上がらせた。
審査員を務めた歌人の木下龍也さんは、この作品について、猫そのものではなく「猫が残した影」を描くことで、一緒に過ごした時間や寂しさが伝わってくると評価。特に「十二年」という具体的な数字が作品にリアリティーを与えているとコメントした。
優秀賞には5作品が選出された。「この家のドアみな少し開いていて 猫と暮らした日々のそのまま」や、「お母さんいつか私を忘れたら今度は友だちになってよね」など、ペットとの別れや親子の絆、愛する人への思いを詠んだ作品が並ぶ。
審査には、お笑い芸人のヒコロヒーさん、木下さん、文筆家の土門蘭さんが参加。3人は多数の作品に目を通し、言葉の一つひとつから背景にある人生や感情を想像しながら最終選考を行ったという。
ヒコロヒーさんは、最優秀賞について「喪失したことが存在している」ことを描いている点にひかれたと説明。また、優秀賞の「お母さん」の短歌については、母と子という関係を超えて、いつか「友だち」になりたいという願いが健気で愛らしいと評価した。
今回の審査では、最優秀賞のほか優秀賞5作品、審査員賞15作品、佳作30作品を選出した。入賞作品と最終審査会の様子、審査員へのインタビューを「クリネックス涙腺短歌」特設サイト で公開している。








