電気興業(東京都千代田区)は、「5.7ギガヘルツ帯を使用した空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」の基礎技術を開発した、と発表した。
空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)は、電池やケーブルを使用せずに多数の機器に給電する技術で産業界で最も注目されている分野。WPT向けの周波数として、920メガヘルツ帯、2.4ギガヘルツ帯、5.7ギガヘルツ帯の三つの帯域が割り当てられているが、同社は5.7ギガヘルツ帯での開発を進めており、送信アンテナのビームフォーミング機能(無線通信で送受信の方向を電子的に制御する技術)を使って受信アンテナを追従して電力伝送を行うことが可能になったという。
鉄道模型を使った実証実験で①アンテナから離れた場所にあるモーターが駆動すること②駆動する鉄道模型をアンテナで追従し安定的に電力伝送できることーを確認した、としている。
同社は2022年度から4カ年計画で、高速大容量の第5世代(5G)基地局アンテナ(28ギガヘルツ帯)で準ミリ波帯(24ギガヘルツ帯)のWPTシステムを共用し、WPTによる送電中も5Gシステム性能を維持するためのアンテナの開発を進めているという。この研究は総務省に採択された。