読売新聞社主催、演劇界の成果を顕彰する「第30回読売演劇大賞」贈賞式が24日、東京都内で行われ、最優秀女優賞を受賞した上白石萌音が登壇した。
上白石は昨年、ジブリ作品の舞台版「千と千尋の神隠し」、「足ながおじさん」を基にしたミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ」での演技が、いずれも高く評価された。
25歳での同賞の受賞は、史上最年少となる。受賞のトロフィーを手にした上白石は「身に余る賞を頂き、大変恐縮です。めちゃめちゃ重いです。ありがとうございます」と笑顔であいさつ。関係者や観劇に訪れた人たちに感謝を述べた。
幼い頃から舞台が大好きだったという上白石は「小学生のときから、将来の夢は舞台俳優になることでした。でも、そんなに甘い世界ではないと、一度は夢をきっぱり諦めたこともありましたが、数々の尊いご縁と幸運に恵まれ、今があります。一つ一つの出会いに感謝しております」とコメント。
続けて、「憧れ続けていた世界は、やはり甘くなくて、今もお稽古の真っ最中ですが、毎日悩むことばかり。うまくいかないことの方が多くて、今日も稽古場から、どうしたものかと首をひねりながらこの会場に参りました」と明かした。
それでも、「焦りや悔しささえも私にとっては大きな喜びです。子どもの頃から大好きだった演劇に携われているという幸せが、どんな困難からも私を引っ張り上げてくれます。たくさんの方々が心血を注いで、生の時間を紡ぎ出していく演劇が私は大好きです」と語った。
最後は、「今はまだカンパニーの皆さんに助けてもらい、学ばせていただくことばかりですが、私もいつかは誰かに手を差し伸べられるような、それぐらい長くお芝居を続けていられたら幸せだと思います。この賞に泥を塗ってしまわないように、ますます精進してまいります」と言葉に力を込めた。
この他、最優秀男優賞を段田安則(『セールスマンの死』『女の一生』)、杉村春子賞を大原櫻子(『ミネオラ・ツインズ』『ザ・ウェルキン』)、芸術栄誉賞を草笛光子が受賞。
最優秀作品賞、そしてグランプリに当たる「大賞」には、劇団チョコレートケーキの「生き残った子孫たちへ 戦争六篇」が輝いた。