大人が仕事をしながら高齢の親を介護するのも大変なのに、子どもたちが学校に通いながら家族の介護をする大変さは想像を絶する。近年その苦悩が認識され支援の輪が広がり始めているが、日本初のヤングケアラー支援条例を制定した埼玉県入間市が11月26日(水)に、全国の自治体関係者・支援者などに向けて「全国ヤングケアラー支援シンポジウム2025 from入間」を、入間市産業文化センターで開催する。こども家庭庁支援局長、埼玉県議会議長、国こども家庭審議会委員(元ヤングケアラー)を招き、先駆自治体としての“次の一手”を発表。全国にヤングケアラー支援の輪が広がることを目指している。
入間市では2021年、市内の小・中・高校生を中心に実態調査を実施。自身がヤングケアラーだと認識している割合は、小学生で5.7%、中学生4.1%、高校生4.8%に上ることが判明した。約20人に1人の子どもが、本来大人が担うべき家事や介護、兄弟姉妹の世話などを日常的に行っている計算になる。「勉強したい」「友だちと遊びたい」「将来の夢について考えたい」などの当たり前の願いを諦めている子どもたちがいるという現実に、入間市は正面から向き合うことを決意。令和4年に日本初となるヤングケアラーに特化した支援条例を施行した。具体的には、市内に住むヤングケアラーがいる家庭に、週2回、1回2時間以内でヘルパーを派遣したり、専属のコーディネーターを中心に、市役所の関係部署、学校、地域住民、関係機関が連携し、切れ目のない支援体制を構築している。
2024年に改正施行された「こども・若者育成支援推進法」で、ヤングケアラーは、国や地方公共団体が支援すべき対象として法的に位置づけられた。地域のつながりが希薄になり、少子高齢化や核家族化の進展、共働き世帯の増加などで、家族のケアを担わざるを得ない子どもは今後も増えていくと推定されている。
今回のシンポジウムでは、入間市の3年間の実践から得られた知見を全国の自治体と共有し、ヤングケアラー支援のさらなる充実を目指す。また、市民や地域の関係機関に対しても、ヤングケアラーへの理解を深め、地域全体でこどもを支える仕組みづくりを呼びかける。
参加対象は全国の行政機関・関係機関の職員などやヤングケアラーについて学びたい人。定員は先着400人。参加申し込みは11月24日(月)まで受け付けている。










