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岐阜県飛騨市で土蔵の雪囲い 関係人口拡大に向け住民と市外の人々が協力して冬支度

 人間のの生活圏に出没するようになったクマの報道を見聞きするたびに、猟友会の人々のご苦労とともに、地域の人手不足について考えさせられることが多くなった。例えば雪国ではこれからの季節、さまざまな“力仕事”が不可欠で、高齢化し手を貸す人も減っている地域の課題が浮き彫りになる。岐阜県飛騨市では、地域を応援する「関係人口」拡大に取り組んでおり、11月29日(土)には、住民と市外から手伝いに来る人々が一緒に、飛騨市宮川町種蔵で石積み棚田を獣害から守る獣害防止柵の撤去や、種蔵唯一の土蔵の雪囲い作業を行うことになっている。

 宮川町種蔵地区は、地元住民は6戸13人、平均年齢も65歳を超えている。今回は、毎年大雪で閉ざされてしまう同地区の雪が降る前の冬支度として、まずは石積み棚田をイノシシなどの野生鳥獣から守るための獣害防止柵を撤去する。種蔵地区は3mを超える雪が降るため、破損を防ぐ目的がある。そして、民家より多い板倉で有名な種蔵で、唯一の土蔵の雪囲いを設置する。

 この石積み棚田と板倉の群倉は、飛騨市に合併する前の宮川村時代(2001年)に環境省の「かおり風景百選」に選ばれているが、人口減少・少子高齢化で、住民の力だけで景観を守っていくことが困難になり「種蔵を守り育む会」を2006年に設立。近隣地域、また地域外の人々の協力を得て景観保全作業を行っている。