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冬の「うっかり脱水」にご用心! 大正製薬が呼び掛け、水分量の低下が招く“ドロドロ血液”を放っておくと危険なワケは?

 猛暑がついこの間のことのように思えるのに、あっという間に寒くなり、本格的な冬が近づいてきた。目に見える汗をあまりかかず、のどの渇きも感じにくいことから水分摂取を怠ってしまう人も多いかもしれない。しかし、冬でも体から見えない形で水分が奪われ続け、体温を調整しているという。全身のあらゆる器官の活動には水分が不可欠。日頃、積極的に水分を意識していないと自覚しづらい“うっかり”脱水を起こしてしまい、重大な健康リスクにつながることもあるとして、大正製薬(東京)が注意を呼び掛けている。

 同社によると、冬場の「口・喉・鼻まわりの粘膜の乾き」「肌・目・髪の乾燥」「体の疲れ・だるさ・頭痛」「尿の変化(尿が濃くなる)」「めまい・立ちくらみ・ふらつき」「便秘・お腹の張り」「集中力の低下・気分の落ち込み」「筋肉のけいれん・こむら返り」などの症状は、脱水のサインの可能性があるという。

 同社が今年11月に全国の20代以上の男女1000人を対象に、冬場に上記のような症状を経験したことがあるかを調査したところ、「口・喉・鼻まわりの粘膜の渇き」が最多で427人、次いで「肌・目・髪の乾燥」399人、「体の疲れ・だるさ・頭痛」309人、「便秘・お腹の張り」が166人、「筋肉のけいれん・こむら返り」が150人だった。

 同社は、脱水症に詳しい済生会横浜市東部病院 患者支援センター長・栄養部担当部長の谷口英喜医師による、冬の“うっかり脱水”のリスクと対策についても紹介している。

 谷口医師によると、冬は暑い季節と異なり、明らかな発汗が少なく、「水分を失っている」という自覚がしづらい。また、温かい空気を吸うことで喉や口の温度受容体が刺激されにくくなり、脳が“渇き”を感じる信号を出しにくくなることもあるという。さらに、寒さから冷たい飲料を避けたり、気温の低いトイレにあまり頻繁に行きたくないという気持ちから水分摂取を控えてしまったりすることで、水分摂取の頻度や一度の量が減ってしまう傾向があるそうだ。

 体内の水分が極端に減ると血液中の水分量も減少し、血液はサラサラから“ドロドロ”へと変化。血液の濃度(比重)が上がって流れにくくなるという。この状態では血管内でコレステロールや中性脂肪が沈殿しやすく、動脈硬化が進行して血管が狭くなったり詰まりやすくなったりするため、脳梗塞や心筋梗塞など重篤な病気のリスクが高まるという。

 また、特に冬は寒さで血管が収縮しやすく、暖かい部屋から冷えた浴室やトイレなどへ移動した際の急激な温度差によって血圧が大きく変動し、ヒートショック(急な血圧変動による失神や心停止)を起こす危険がある。寒さに反応して血管が縮み血圧が急上昇した後、熱い湯に入ることで血管が急に広がり血圧が急降下し、脳や心臓に大きな負担を与える。こうしたリスクを防ぐためにも、季節を問わずこまめな水分補給を心がけ脱水を避けることが重要という。

 冬場でも、1日に成人で、食事からとる水分も合わせて2リットルを目安に水分を摂取する必要があるという。利尿作用のあるコーヒーや緑茶、アルコールは水分補給としては逆効果。水やお茶(麦茶など利尿作用のあるカフェインを含まないもの)、ジュースやスポーツ飲料などを、「朝起きた後」「朝食時」「お昼を待たず午前中に1杯」「昼食時」「おやつの時間」「夕食時」「入浴前」「入浴後(就寝前)」とこまめに取るのがおすすめとしている。