幕末の歴史に詳しくない人でも、「幕末の偉人」と聞けば何人かがパッと思い浮かぶだろう。その中でも全国の男女2,000人が一番会いたいと答えたのは? その結果は、5メートルものなが~い手紙を書き、人間的にチャーミングな男。やっぱりあの人だった―。2017年は江戸幕府が政権を朝廷に返上した「大政奉還」から150年、2018年は「明治維新」から150年の節目に当たることから、幕末から明治維新にかけて多くの偉人を輩出した高知県では、観光博覧会「志国高知 幕末維新博」を2年にわたり開催するなど、土佐の魅力PRに盛り上がりを見せている。博覧会開催を記念して実施したのが、幕末・明治時代やその時代の人物への興味に関するアンケートだ。
全国の20~60代の男女2,000人を対象にしたアンケートでは、まず、日本の歴史についての興味を聞いた。「興味はあるが、知識は浅い方だ」(51.6%)が最も多く、「興味があり、知識もあるほうだ」(16.4%)と合わせると、68.0%が興味を持っていた。「好きな時代・興味がある時代」(複数回答可)は、「江戸時代」(44.9%)、「幕末・明治時代」(40.5%)、「戦国・安土桃山時代」(39.3%)が上位だった。そして、「幕末期の人物で最も会ってみたいのは?」。薩摩藩から大久保利通と西郷隆盛、長州藩から桂小五郎と高杉晋作、土佐藩から後藤象二郎と坂本龍馬、肥前藩から大隈重信と鍋島直正と、4藩から2人ずつ計8人を挙げて選んでもらった。ダントツのトップは「坂本龍馬」で47.2%。以下、「西郷隆盛」(12.9%)、「大久保利通」(9.9%)、「高杉晋作」(8.2%)と続いた。坂本龍馬のイメージ(複数回答可)を回答者全員に尋ねたところ、「行動力がある」(57.3%)、「先見性がある」(36.5%)、「カリスマ性がある」(35.2%)が上位で、以下、「好奇心にあふれている」(31.7%)、「決断力がある」(25.8%)と続いた。
ダントツ人気の幕末の偉人、坂本龍馬とはどんな人物だったのだろうか。龍馬に関する著作や研究で知られる京都国立博物館学芸部列品管理室長の宮川禎一さんは、龍馬を「手足も動き、口も動き」と表現し、「考えることと口に出すこと、行動することが一致しているアクティブな人」だと行動力を評価する。一介の素浪人のような立場だった龍馬が薩長同盟や大政奉還を実現させたことは、残された史料を読んでも「よくやるなと不思議でたまらない」という。話好きで内容もおもしろく、女性にもよくモテたという龍馬。京都国立博物館にある龍馬が書いた手紙には、実家の姉に宛ててつらつらと用事を書いたり、妻となるおりょうのことを書いたり、長さが3メートル、5メートルに及ぶものも。宮川さんが「人間的にどこかチャーミング」と話す龍馬だが、「人というものはお金に弱いものだ」などと人間の複雑さに思いをめぐらすなど、残された手紙からは哲学的で奥行きを感じさせる人柄も伝わってくるという。インターネットや電話があるわけでもない時代に、自分の足で会いに行き、情報収集・伝達をし、人脈を築いていった坂本龍馬。その姿勢は、便利なツールに囲まれた現代人こそが、あらためて大切にすべきかもしれない。
「志国高知 幕末維新博」は第一幕が平成29年3月4日に開幕し平成30年3月31日まで、第二幕が平成30年4月1日から平成31年3月31日までの開催予定。オープンしたばかりの伝統と近代的イメージが融合した高知城歴史博物館(高知市)をメイン会場に、県内23の歴史文化施設などで貴重な歴史資料に出合うことができる。龍馬をはじめ、幕末の偉人たちを生み出した高知県は、龍馬像が太平洋を眺める「桂浜」や、大きなダムがないことから“最後の清流”と呼ばれる「四万十川」、奇岩が作り上げる絶景や美しい夕日で知られる「室戸岬」など、豊かな自然の宝庫。カツオだけでなく、地鶏やうなぎ、四万十ポーク、その他ご当地グルメなど食の魅力もたくさん! 新しい歴史を切り開いた先人たちの息遣いを感じに、高知県に行ってみよう!