伝説的デビュー作『子猫をお願い』のチョン・ジェウン監督の待望の新作はまたもや、にゃんこの映画だ。猫目線で「地域猫」と人々の暮らしをあたたかく見つめるドキュメンタリー作品『猫たちのアパートメント』(2022年/88分/提供:パンドラ、竹書房、キノ・キネマ、スリーピン/配給:パンドラ)が12月下旬から全国各地でロードショー公開される。
ソウル市内・江東区のかつてアジア最大といわれた遁村(トゥンチョン)団地。老朽化で再開発が決まり、少しずつ住民の引っ越しや取り壊し工事が進んでいる。しかし、そこには住人たちに見守られて250匹の猫たちが住んでいた。
猫たちと住人たちによるお引越し大作戦が始まる。果たしてすべての団地が解体されるまでに、猫たちに新たな安住の地を見つけることができるのか?
自由気ままに団地を闊歩(かっぽ)する個性豊かな猫たちの姿を、地面スレスレに構えた猫目線のカメラで活き活きと描き出している。
「遁村(トゥンチョン)団地猫の幸せ移住計画クラブ」(通称トゥンチョン猫の会)のメンバーは「『子猫をお願い』は私たちの世代では知らない人がいないほど有名な映画で、その監督にぜひ団地と猫を記録してほしいという思いがあった」と話す。
あたかも『子猫にお願い』(2001)に登場する少女たちが成長した姿と重なるような女性たちが、葛藤を抱えながらも柔軟に活動する様が繊細に捉えられている。
「門番猫」のコンスン、超人気猫の“将軍”トゥンイ、人懐っこいバンダル、人々を魅了する黄色いトラ猫のイェニャン、超外交的なノレンイなどが登場する。
チョン・ジェウン監督は1969年、ソウル生まれ。2001年、『子猫をお願い』で長編デビューを飾る。同作は、80年代生まれのミレニアル世代の女性たちの友情や挫折を、みずみずしい感性で描き、高く評価された。当時韓国ではまだ数少なかった女性監督が描いた現在進行形の女性の生き方が、幅広い世代の女性たちの共感を呼んだ。
韓国動物権利擁護協会(KARA)の代表理事も務めているチョン・ジェウン監督は、「猫は私たちの社会の変化を示す物差しです。だからこそ、ますます興味が湧いてくるんです」と語っている。
上映館などの最新情報は公式ホームページで確認してほしい。
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