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アフターコロナのインバウンド最新情報などを発信 「第26回JNTO インバウンド旅行振興フォーラム」がスタート

2日間にわたり開催される「第26回JNTOインバウンド旅行振興フォーラム」

 アフターコロナでますます注目が高まるインバウンド(訪日外国人旅行者)の最新情報などを2日間にわたり発信する「第26回JNTOインバウンド旅行振興フォーラム」の初日が、9月6日(水)、東京都内の会場とオンラインを用いたハイブリッド形式で始まった。JNTO(日本政府観光局・東京)主催。

 4年ぶりに海外26カ所にある全ての海外事務所長・海外事務所設置準備室長が集結。「持続可能な観光地域づくり」「インバウンド回復」「国内交流拡大」の3つの戦略に取り組む政府の「観光立国推進基本計画」(2023年3月31日に閣議決定)に基づき、今後3年間の新たなマーケティング戦略をもとに、詳細にターゲットを設定した訪日インバウンド22市場の特徴などを2日間で一挙に公開する。

 初日の6日冒頭には、主催者あいさつ、観光庁やJNTO担当者からのインバウンドの現状や課題・取り組みについての講演が行われた。

 主催者あいさつの中でJNTO理事長の蒲生篤実氏は、「日本の魅力を、日本の力に。これを経営理念、行動指針の柱としている。この大きな目的につなげていくべく、引き続き賛助団体、会員の皆さまと共にインバウンド振興に努めていく。今後も一層のご支援を賜りたい」と述べた。

JNTO理事長の蒲生篤実氏

 

 観光庁国際観光部国際観光課長の齊藤敬一郎氏とJNTO企画総室長の平野達也氏は、インバウンドの現状や課題、各機関の取り組みなどについて説明。

 2019年に年間3200万人に達した訪日外国人旅行者数は、コロナ禍の2021年には年間24万人にまで激減。昨年10月のコロナ水際対策の大幅緩和により、訪日外国人旅行客は増えてきてはいるが、コロナ前の2019年1~3月期に比べ回復率62%と、まだまだ回復途上。一方、円安の影響もあり、旅行者一人当たりの旅行消費額は同時期の比較において約21万円と1.4倍になっているという。

 齊藤氏は、訪日外国人旅行者の延べ宿泊者数などを示し、三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)にある埼玉・東京・神奈川・愛知・京都・大阪・兵庫と、それ以外の都市でのインバウンド回復の大きな差も指摘。「訪日外国人旅行消費額」(回復目標達成率60%)、「地方部での外国人延べ宿泊者数」(同61%)の増加に向けて力を入れていきたいとした。一方で、「数字のみを追うのではなく、各地域への恩恵なども同時に考えていく必要がある」と指摘した。また、訪日旅行1回あたりの総消費額が1人100万円以上の「高付加価値旅行者」を特に地方に呼び込むために、「その土地の魅力というウリに加え、ヤド・ヒト・コネ・アシ」の5つを備えた地域をたくさん作っていきたい」と話した。さらに、アウトバウンド(出国日本人数)の重要性にも言及した。

観光庁国際観光部国際観光課長の齊藤敬一郎氏

 

 平野氏は、今後の訪日マーケティング戦略について「旅行者の消費額に着目したターゲティングとプロモーション」「地方関心層へのテーマ別アプローチ」「早期回復・市場成熟度別の市場拡大」という方向性を示した。2023年度進行中の取り組みとしては、地方への誘客のために「路線回復と誘客促進に向けた航空会社との連携強化」「アドベンチャートラベル等の推進」「2025年大阪・関西万博に向けた取り組み」などを挙げた。「サステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)の推進」について、「サステナブルをテーマにしたコンテンツの用意より先に、その地域の人たちに、持続可能性についての理解を深めてもらう必要がある。コンテンツの提供だけでなく、地域の環境・文化・経済の持続可能性を高めていくことが必要」と話した。

JNTO企画総室長の平野達也氏

 

 初日最終プログラム「コンテンツの魅力を引き出せ!~高付加価値のコンテンツ作りと誘客について~」では、地方観光協会やインバウンド事業に取り組む会社などの関係者を講師に招き、パネルディスカッション。2日目には、戦略的にインバウンドの誘客に取り組んでいる岐阜県・高山市の担当者から、「自治体がインバウンドに取り組む意義」をテーマにした講演が予定されている。