ふむふむ

「テレワーク」「副業・兼業」で高まる健康管理への意識   働く人たちに聞いた「健康とセルフケアの実態調査」

 “人生100年時代”といわれる現代。60代以上になっても働き続ける人が多く、働き方も多様化している。第一三共ヘルスケア(東京)では、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」という考え方が現代の日本において重要なテーマになることを見据え、働く人の「健康とセルフケアの実態調査」を毎年行っている。2024年は「テレワーク」や「副業・兼業」などをテーマに加えてインターネット調査を実施。全国の20~60代の働く男女1000人を対象に、1月19日から22日にかけて行った。

■働く人の「セルフケア」への意識は?

まずは、「セルフケア」という言葉の認知度について。「意味、内容まで知っている」(25.9%)と「言葉だけは知っている・聞いたことがある」(49.9%)を合わせ、75.8%が「知っている」と答えた。

6_original

 「セルフケアとは、自分自身で健康を守り対処すること」と提示した上で、自身のセルフケアの実践度を尋ねたところ、「できている」(5.5%)と「どちらかといえばできている」(38.9%)を合わせ、全体の44.4%が「セルフケアができている」と答えた。年代別に見ると、60代(51.1%)と20代(49.5%)では約半数が「できている」(「できている」+「どちらかといえばできている」)と回答。40代(39.5%)と50代(41.2%)は約4割だった。

7_original

 セルフケア実践率は2020年から年々低下傾向にあり、過去4年間で54.3%から44.4%へと約10ポイント下がっていた。セルフケアについて、「今後日本では、セルフケアの重要性が増す」と思う人の割合は、「当てはまる」(19.4%)と「やや当てはまる」(53.1%)を合わせ、全体の72.5%に上った。セルフケアに対する意識は高いものの、セルフケアの実践率は低下しており、意識と実践の間に隔たりがあることが浮き彫りになった。

 セルフケアとして行っていることとしては、「十分な睡眠をとる」(44.5%)、「1日3食きちんと食べる」(40.9%)、「朝食をきちんと食べる」(39.3%)、「野菜を多く摂取する」(39.0%)、「手洗い・うがいをこまめにする」(35.5%)が上位に入り、全体的に60代において高い傾向が見られた。

 

■「コロナ」がもたらしたセルフケアへの意識変化

 2023年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが「2類相当」から「5類」へと移行され、それまでのさまざまな制約が緩和された。今回の調査の特徴として、このことによって働く人の生活や意識がどのように変化したのかを調査した。

 2024年1月時点のテレワーク状況を聞くと、「全て出社して働いている(テレワークはしていない)」と答えた人が72.7%、「テレワークをしている」と答えた割合は27.3%だった。また、「テレワークあり」であっても、内訳を見ると「出社が多い」(13.5%)が最も多かった。

現在の働き方22_original

「テレワークあり」と「テレワークなし」の人の、コロナ5類移行後の生活における変化も比較した。その結果、「テレワークあり」の人は、コロナ禍のときに比べて「出社が増えた」「対面での会議が増えた」「通勤の交通機関が混雑している」と感じる人が、「テレワークなし」の人より大きく増加していた。「テレワークあり」の人は、「テレワークなし」の人に比べ、コロナ禍以前(2019年ごろ)に比べ、「体力の低下を感じる」「疲れやすい、疲れを感じる」「自分の体調変化に敏感になった」と感じている割合も高かった。同社は、出社と在宅のハイブリッドワークとなる「テレワークあり」の人は、毎日の変化が大きいことが背景にあるとみている。

 また、自分自身における「セルフケアの重要性」について、コロナ禍以前と比べて現在の方が高くなった人の割合は、「テレワークあり」(42.9%)の方が「テレワークなし」(34.7%)よりは8.2ポイント高かった。「セルフケアに対する意欲」「セルフケア実践度」も「テレワークあり」の人は「テレワークなし」の人に比べて高かった。

セルフケア重要性9_original

■多様化する働き方、副業・兼業で大切なことは、お金の管理より「健康管理」

 「令和4年就業構造基本調査」(2023年7月、総務省発表)によると、「非農林業従事者のうち副業がある人は305万人と5年前に比べ60万人増加」と報告されている。今回の調査では、副業・兼業とセルフケアの関係についても質問した。

 全体に副業・兼業の経験を聞いたところ、「現在、副業・兼業をしている」(11.6%)と「過去にしたが、現在はしていない」(14.8%)を合わせ、26.4%が副業・兼業経験者だった。

副業兼業3_original

 副業・兼業経験者264人に副業・兼業をしていたときに感じたこと(複数回答)を聞くと、「疲れを感じることが多かった」(27.7%)、「自分の時間や余暇時間がとれなくなった」(25.8%)、「ついつい働き過ぎてしまった」(23.5%)が上位に入った。副業・兼業を現在も継続している人の21.6%が「体調管理・健康管理に気を配った」と回答し、副業・兼業をやめた人(10.1%)より11.4ポイント高かった。また、副業・兼業を現在も継続している人の方が、「疲れ」は9.3ポイント、「ストレス」は13.5ポイント低くなっていた。同社は、「体調管理」が副業・兼業を長く続けるための大切な要素であることがうかがえる結果と見ている。

 全体に、副業・兼業をする際に気遣う大切なことについて聞いたところ、「お金の管理」(57.2%)、仕事を含めた生活全般の「時間の管理」(50.8%)を抑え、トップは「健康管理」(66.6%)だった。現在、副業・兼業をしている人では、「健康管理」と回答した人の割合が71.6%で最も高かった。

 

副業で大切なこと17_original

■日々継続して“プチ気晴らし”も効果的

 同社の産業医・鄭理香氏は、セルフケアへの意識の高まりについて、テレワークという選択肢があることで毎日の体調に注意を払い、気になるときは出社から在宅に切り替えるなど、自分の体調変化に目を向けて健康をより意識するようになったことも背景と見ている。セルフケア実践率が低下していることについては、「コロナ禍を経て体調管理に対する意識がぐっと高まり、セルフケアが日常的な行動として定着してきたからではないか」としている。

 鄭氏はセルフケアについて、「“日々継続”がポイント」と指摘。「寝る前にストレッチをしてリラックスしたり、昼休みに軽く筋トレして気分を切り替えたり、今あるスキマ時間で自分がやってみたいセルフケアを無理せずに行ってみてください。例えば“笑う”という行為には、ストレス緩和や免疫力アップなどさまざまな効果があるといわれています。仕事の休み時間に面白い動画を見て笑ったり、好きな写真をスマホの画面に設定してほっこりしてみたり、ちょっとした時間にできるプチ気晴らしを取り入れていくのも効果的です」とのコメントを寄せている。

 第一三共ヘルスケアでは、情報提供サイト「くすりと健康の情報局」で、身近な症状の原因・予防・対策や市販薬の役割などを紹介している。また、セルフケア情報メディア「健康美塾」では、季節やトレンド、ライフステージごとで気になる症状の情報を毎月配信。スキンケア・風邪の対処などの日常生活におけるセルフケアや、生理痛・更年期をはじめとした女性特有の健康課題などについて、医師や薬剤師、美容家による専門的な情報と実践的なスキルや解決法などを紹介している。