「人生で1番大切なのは、思い出を作ること」ー39万部のベストセラーで話題の「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」では、人生におけるお金の使い方を提案。「死ぬ時に最後に残るのは思い出しかない。だから財産の最大化ではなく、人生の喜びを最大化することの方法を探るべき」と語られています。それを読んで、「行きたいところは、『いつか行きたい』と先送りにするのではなく、すぐに叶えるべきだ」と痛感。この著書を読み解きながら、思い立ったらすぐに旅に出なければいけない理由を探っていきます。
経験をポイント化する
本の中で語られているのは、人生は「経験の合計」であるということ。
経験を増やすと、雪だるま式に幸せになれるというのです。「私たちの経験=思い出や記憶」は積み上げていくもので、それが人生の価値になるという説明はなんだか頷けます。
経験は仕事でもプライベートでもいいと思うのですが、旅行は写真として記憶に残りやすく、旅先での非日常感やトラブルも「やったことのない経験」としてインプットされると感じています。
例えば、私がオーロラを初めて見に行ったとき、予定していた3日間はオーロラを見ることができず、翌日なら見られるかもしれないということがありました。翌日からは他の都市に移動する予定でしたが、宿泊予定のホテルをキャンセルし、オーロラを見るために延泊し粘ることに。
結果、オーロラを見ることができました! 感動と共に、自分には予定をキャンセルして行動する力があるとわかったこと、友人と共に苦労して見られたという思い出が追加され、次からは同じようなことがあっても予定を変える勇気を持つことができました。きっとこのような経験は、「雪だるま式に幸せになる」ことに繋がっているのかなと感じています。
さらに、本の中で例として紹介されていた、親の最期を一緒に過ごしたとき「あの時は楽しかったね」と旅した記憶や、大好きな家族と集まったときのエピソードにも心を動かされました。私も最期は悔いのないように生きたい。例えば「オーロラを見たい」「シベリア鉄道に乗りたい」「映画のあのロケ地に行きたい」など、人生のWISHを叶える旅は、後回しにせず早く叶えたほうがいい。そう感じました。あなたのWISHはなんですか?(私は南極に行くことです!)
健康で体力があるうちにお金を使った方がよい
本の中で強く言われていた1つが、「どの年齢で、どれくらいお金を稼ぎ、どれくらい楽しい経験にお金を費やすか」ということ。
これは長期的なプランニングが必要ですが、本が伝えたかったことは、「健康で体力があるうちに、お金を使った方がよい」ということだと思います。悲しいかな、体力は加齢とともに落ちていくのは事実。経験を楽しむ能力は加齢によって低下するからこそ、先延ばしにするのではなく、「今」こそWISHを叶える必要があるというのです。
例えば、私がかつて参加したエチオピアのダナキル砂漠のツアーは、50歳以上お断りという触れ込みがありました。それもそのはず、噴火したマグマが見える山を見ることができるのですが、毒ガスを噴出する山を夜、3時間かけて登山し、屋根のないところで寝袋に包まれた野宿を2泊と、なかなか過酷なもの。
さらにシャワーは1回だけとかなりサバイバル。実際に行ってみて、これは若くて体力のあるときでないと辛いなと感じました。しかし、砂漠の中の火山だからこそ見られるマグマや、硫黄で形成された黄色だけが広がる景色など、日本にはない大自然を見ることができ、苦労した価値のある経験でした。
当時から6年経った今、振り返ると私自身、あのときのエネルギーがあるか若干不安です……。今この瞬間が一番若くて元気だからこそ、やりたいことは叶えないといけない。だから先送りにするのではなく「今」、旅に出る必要があると私は感じています。
お金の価値を最大化できる年齢は26-35歳!?
学生時代を経て、ある程度の経験を積み知見を持ち、かつある程度のお金と元気な体力もある時期が「26-35歳」なので、そう指していると思いますが、そんな悲しいことが本には書かれていました。
その年齢はともかく、学生時代、お金はなくて時間はあるという暮らしから、社会人になってキャリアを積むと、収入は増えたけど時間がないというジレンマを誰もが感じたことはあるはず。
時間がないから、後回しにする。定年後に旅行ややりたいことをしよう! そんなことを考えたりしていませんか? 今が一番若いからこそ、今しかできない経験(価値のあるもの)への支出と将来のための貯蓄の適切なバランスを考えたいですね。
この本を偏った読み方をすると、ひたすら「若いときにお金を使え!」と言っているようにも見えますが、そうではありません。本で言われているのは、「タイムバケット」という、物事にはそれをやるべき時期もあるという視点を持とう! 残りの人生で何をしたいのか? ということです。
例えば、「青年期」「中年期」「高齢期」と、人生を5年か10年区切りにし、その中に「やりたいこと」を記載したものがタイムバケットです。年齢によってのWISHを決めると、より解像度が上がるはずです。
例えば旅行好きな私の場合、旅行に関してはこのタイムバケットを実践できていた気がします。
就職前は、時間がなくなるからこそ世界一周をしたい
就職してからは、友人たちのライフステージが上がる前に大人の修学旅行をしたい
ある程度、収入を得るだろう35歳までには南極に行きたい
このように目標を立てていました。
特に友人たちが結婚、出産とライフステージが変わる前に、「大人の修学旅行」と称して、4人の友人とバラバラに現地集合し、学生時代にはお金がなくて行けなかった(そして、学生時代には知らなかった)カリブ海のオールインクルーシブを楽しんだり、オープンカーを借りて、交代でアメリカをドライブし、それぞれが気になるところに立ち寄る……と巡った経験がありました。その友人同士と当時の思い出を振り返ると、「もうなかなかできないけど、最高の経験だった」と話しており、このように、人生のこの時期だからこそやりたい目標(WISH)を持っていたからこそ、この思い出を作ることができたと思っています。
外的要因も踏まえれば、「今、旅に出る理由」になる
最後に、本では「挑戦するのを先送りにしてはいけない。いま、リスクを取れなければいつ取れるのか?」と念押しをしています。
リスクというのは外的要因も大きく影響します。例えば、私はかつてオーストラリアのエアーズロックに登ったことありますが、今は先住民・アボリジニの希望もあり、登ることは禁じられています。またウクライナで有名な絶景スポット・恋のトンネルに行きたいと思っていましたが、戦争で入国もできない状況になってしまいました。
自分ではどうしようもできないリスク、つまり外的要因によって、「お金」や「時間」といった自分で制御できるリスクを超え、叶わなくなることも大きくあります。だからこそ、行きたいところがあったら「今」旅に出るべき理由になのではないでしょうか?
DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール
ビル・パーキンス(著) 児島 修(翻訳)
TABIZINE
TABIZINE(タビジン)は旅と自由をテーマにしたライフスタイル系メディアです。
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