カルチャー

グルテンフリーのクリスマスケーキ製作 始まりはアレルギーを持つお客さまのため パレスホテル東京のシェフ窪田さん

ビュッシュ ド ノエルを持つ窪田総括シェフ

 朝夕に秋の気配が感じ始められるようになる中、ホテル業界では今年のクリスマスシーズンに向けたケーキやブレッド、ギフトの予約受け付けが始まる。皇居外苑そばのパレスホテル東京もその一つだ。同ホテルでこのほど開催されたクリスマスケーキ&ブレッドの試食会に参加した。クリームなどが溶けないよう室温が低めに設定され会場に、高さ54センチの「レンヌ」をはじめ、定番のクリスマスケーキ、ブレッド、シュトーレンが勢ぞろいする中で、ひときわ興味をひかれた一品があった。

高さ54センチの「レンヌ」
一口サイズのビュッシュ ド ノエル(前列右から2番目)

▽「手間はかかるけど・・・」

 この日の試食会では、クリスマスチキン、ケーキ8種類、ブレッド8種類が三つのプレートに載せられて提供された。興味をそそられたのは、ケーキ作りの基本的な素材とされる小麦粉や卵を使わず、米粉100%で作られ、カカオの風味豊かに仕上げた定番のロールケーキ「ビュッシュ ド ノエル」。小麦粉や卵を使わずに、しっとりとした食感と上品な甘さのケーキをつくることができるのかと驚いたからだ。

 同ホテルの窪田修己ベーカリー&ペストリー課の総括シェフがテーブルに回ってきた。窪田さんによると、このケーキは当初、小麦粉などにアレルギー症状を持つお客さまのためだけに1個作ったことが始まりだった。お客さまから「アレルギーの子どもでも、クリスマスシーズンにおいしいケーキを普通に食べたい」という話を聞き、思い立ったという。

 ただ、小麦粉や卵を使わない本格的なクリスマスケーキ作りは「通常のケーキ作りとは違い、ベースとなるスポンジを独自の混ぜ合わせ方で完成させるため、やはり手間はかかります」と笑いながら話す。

 最初は、一人のお客さまのためだけに作っていたが、世の中には同じような悩みを持っている子どもたちがいると知り、「そういう方々に、ホテルとしてお客さまに寄り添ったサービスを提供していくためにもこのケーキを商品化しよう」(パレスホテル東京広報担当者)と3年前、毎年のクリスマスケーキの定番商品にした。

 窪田さんは「毎年のクリスマスケーキなどの製作は、ホテルにとって繁忙期となります。そんな中でも、『ビュッシュ ド ノエル』は手間がかかる上に、私がメインでつくっている商品です。ただ、これをお待ちになっているお客さまがいらっしゃる以上、これからも心を込めて作り続けていきます」と意気込みを語った。

 「ビュッシュ ド ノエル」は限定100個で、6500円(税込み)。販売期間は12月21日~25日で、予約期間は10月1日から購入日の3日前まで。商品の性格上、受け取りは店頭のみ。他のクリスマスケーキなどを含め、パレスホテル東京のオンラインショップなどで予約を受け付ける。