カルチャー

作家の横関大さんがBリーグ島田チェアマン訪問 次回作「B球の故郷(ふるさと)」はバスケと街おこしがテーマ

談笑する島田チェアマン(右)と横関さん(中央)、西川さん

 江戸川乱歩賞受賞作家で『劇場版 ルパンの娘』などの映像化作品で知られる、横関大さんが10月中旬、日本バスケットボール協会・副会長でありBリーグチェアマンを務める島田慎二さんを都内のオフィスに訪ねた。

 横関さんの次回作「B球の故郷(ふるさと)」がバスケットボールと街おこしをテーマにしており、作品の挿画を担当する西川真以子さんとともに、執筆開始にあたり島田チェアマンに「お会いしたい」ということで今回、実現した。

 横関さんの次回作は、株式会社共同通信社と講談社のコラボにより、一般社団法人共同通信社の加盟社向けの新聞・WEB版の有料小説として12月以降、配信を予定している。

インタビューに応じる横関さん
 

 ▽「バスケの力で街を活性化」

 「B球の故郷(ふるさと)」は、人口減少に悩む、ある地方都市が舞台。市役所勤務の主人公が一から街ぐるみでバスケットボールチームを立ち上げ、選手集めやスポンサー探しといった数多くの困難を乗り越え、プロリーグ参画を目指す。主人公らが地域を巻き込みながら奮闘していく姿を通じ、生きる勇気を得られるとともに、地域活性化のヒントにつながるような内容を構想している。

 横関さんはこれまで、静岡県の富士宮市役所に勤めていたことがあり、自身の経験も生かされているという。

 Bリーグは2026シーズンからリーグを改革することを発表しており、チームの勝ち負けによる昇降格を廃止し、売り上げや観客動員数、アリーナの確保などの一定の基準を満たしたチームが、一番上のカテゴリーである「Bプレミア」への参入を可能としている。

 訪問を受けた島田チェアマンは「リーグ、アリーナ、バスケの力で街を活性化し、経済効果や社会的価値を生み出すことをやろうとしています」と今後の展望を語り、Bリーグが地域のにぎわいや経済効果の創出を目指していることを強調した。

「B球の故郷(ふるさと)」の挿画を担当する西川さん
 

 ▽地方創生との親和性

 「スポーツ×まちづくり」という今回の作品テーマとBリーグの関連性について、横関さんは「Bリーグは地方創生との親和性がある。Bリーグのステップアップしていくような構想にあわせて作品も展開できるようにしたい」と語り、物語の構想の一端を披露した。

 これに対し、島田チェアマンは「横関さんの今回の作品がきっかけになって、ムーブメントが起きるかもしれない。Bリーグはバスケットで自治体や地元企業のみなさん、市民のみなさんと一緒になって街おこしを狙うということもコンセプトですので、ストーリー的にも一致していて、とても楽しみにしています」と期待感を示した。

 

◆横関大(よこぜき・だい)さん
 1975年、静岡県生まれ。静岡県富士宮市役所に勤務するかたわら、ミステリー作家の登竜門である江戸川乱歩賞への応募を続け、2010年に「再会のタイムカプセル」(現タイトル『再会』=講談社文庫)で受賞した。重厚な人間ドラマから、軽妙なコメディーまで作風は多彩だ。ページをめくる手が止まらないスリリングな展開に定評があり、近年は『ルパンの娘』『K2 池袋署刑事課 神崎・黒木(ドラマタイトル「キワドい2人 ─K2─」)』『忍者に結婚は難しい』『彼女たちの犯罪』など立て続けにドラマ化・映画化されている。今、最も勢いのあるエンタメ作家の1人。

◆西川真以子(にしかわ・まいこ)さん
 1980年、東京生まれ。吉田修一『悪人』、朝井まかて『白光』、桐野夏生『路上のX』、朝倉かすみ『たそがれどきに見つけたもの』など多くの小説作品の挿画を手掛ける。2009年にHBギャラリーの鈴木成一特別賞、2018年に講談社出版文化賞さしえ賞を受賞している。