家具産地の小さな町、北海道東川町で2006年から行われている取り組みがある。生まれてきた赤ちゃんに椅子を贈る「君の椅子」プロジェクト。新しい命を迎える喜びを、地域の人々で分かち合い、見守り、その居場所を作ろうという願いが込められている。子どもは、小学校では木製の学童家具に囲まれて学び、中学校では3年間手入れして使い込んだ自分の木製椅子を卒業記念として持ち帰る。連続した家具産地ならではの取り組みだ。
その東川町が、2021年に建築家の隈研吾氏と共に創設したのが「隈研吾&東川町」KAGUデザインコンペ」。「KAGU」とは従来の家具という概念を拡張したもので、“人間と世界の間をつなぐもの”の総称。次の時代を担う若者に、新しい丁寧な暮らしの提案につながる「KAGU」のデザインを提案してもらう。世界中から多くの応募があり、第3回までの累計応募数は約2000件。第4回を迎える今年は、「動物と生きる家具」をテーマに募集を公式ホームページでスタートした。締め切りは12月30日(月)。
参加資格は国内外を問わず、学生で30歳以下。応募作品の中から入選10作品を選定し、2025年3月29日に東川町で最終審査会を実施の上、最優秀賞(隈研吾賞)・優秀賞・佳作6点を選定する予定。
建築を通して地域の魅力を掘り起こし、地域デザインを考える隈氏と、豊かで美しい環境に恵まれ、家具づくりの盛んな適疎の町、東川町が共に組んで、新しい暮らしを考えていく企画。審査委員長の隈氏は、「自然豊かな東川町には多くの野生動物が生息し、近くには、動物の行動展示をする世界的に有名な旭山動物園もあり、動物との共生を学ぶ機会が多くあります。ヒトのためだけのモノでなく、動物にとって必要なモノもあると思います。自由な発想で、ユニークな新しい発見のある家具を提案してください」とのメッセージを寄せている。
問い合わせは、隈研吾&東川町KAGUデザインコンペ実行委員会事務局(北海道東川町文化交流課)、電話0166-82-2111(代表)、メール: official@kagu-higashikawa.jpまで。