SDGs

“エシカルな商品”へのZ世代からの共感を深めるには? CCCMKホールディングスが第3回「食のサステナビリティフォーラム2024」を開催

 CCCMKホールディングス(東京)は、「第3回『食のサステナビリティフォーラム2024』~今後の消費の中心となるZ世代とエシカルな商品の親和性を紐解く~」を1月30日に都内で開催した。

 同フォーラムは、CCCMKホールディングスが運営するポイントサービス「Vポイント」の購買データや各社の事例をもとに、生活者や業界を超えたさまざまな人たちと対話を重ねながら、“持続可能な食”を目指した生活について考えることを目的にしたイベント。全4回のうちの3回目が開催された。

 70カ国でリサーチ・マーケティング支援を展開するTNC(東京) 取締役の岸本悠生氏は、「海外事例から見るZ世代へのエシカルな商品の消費者価値のつくり方・伝え方」と題して講演した。岸本氏は、グローバル展開におけるSDGs視点の重要性、海外の先進事例からひも解くZ世代に向けたエシカル商品・サービスの共通点などについて解説。「話題性のある商品は、エシカル要素はもとより、“おいしさ”や“ヘルシーさ”、ワクワクするような“ファッション性”が注目されている傾向がある。文化・宗教的な背景やZ世代の価値観に合致していることに加え、使い勝手の良い、手ごろな価格帯であるといった“理にかなったプロダクト”であることも重要なポイント」などと述べた。

 CCCMKホールディングス ビジネスソリューション戦略本部 グループリーダー・データアナリストの大山翔平氏は、V会員約800人を対象にしたアンケート結果をもとにZ世代のエシカル消費の現在の状況について発表した。大山氏は、「エシカルな商品はZ世代から、“あまり楽しくなさそうなもの”として捉えられており、食の根源的なおいしさや楽しさにつながっていないと考えられる。エシカルな商品を消費することに対してZ世代に価値を感じてもらうには、“エシカルの中に楽しさを見いだす”のではなく、“Z世代が楽しいと感じていることにエシカル商品・ブランドの要素をインプットしていく”ことが突破口になるのではないか」と話した。

 企業のエシカルに対する取り組みや思いを若者に共感してもらえる仕組みづくりに取り組む一般社団法人「ETHICAL EXPO JAPAN」(大阪市)代表の塗野直透氏は、「Z世代のエシカル動向」の実態を調査するため、22歳~27歳の男女6人を対象にしたグループインタビューを実施した。インタビューからは、「食の領域において、まず機能的な価値(おいしさ)がある上で、エシカル的な価値やストーリーが消費選択の後押しにつながっている」ということや、「自身が取ったエシカル的な消費行動で社会や環境がどのように変わったのかについて、“結果の見える化”を求める声がある」ということが分かったという。塗野氏は、「Z世代には、“グリーンウォッシング”(うわべだけの環境配慮)への疑念や“サステナブル疲れ”もある」と現状を指摘。その一方で、企業の取り組みや思いをSNS等で丁寧に発信することで、若い世代に共感を深めてもらえる可能性も示唆した。

 フォーラムに参加したニチレイフーズ(東京) サステナビリティ推進部長の佐藤友信氏は、「海外事例や日本での意識調査など大変参考になった。世界中でさまざまな形でエシカル消費が進んでいるという事も理解し、商品開発やサービス提供に向けて新たな発想で取り組みたい」と語った。

 次回のフォーラムは3月に、「持続可能な食をテーマにした流通企業の方針や事例の発表」と題して開催する予定。