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黒糖焼酎・タンカン・ジャガイモ・・・奄美の旬を味わう “島っちゅ”が阪神梅田本店に集結

阪神梅田本店1F食祭テラス「あまみ群島ワンダートリップ」

 日本で3番目に大きな島、奄美大島をはじめ、8つの有人島からなる奄美群島。沖縄本島のすぐ北西に位置しながらも鹿児島県に属する。そんな奄美の魅力をギュッと閉じ込めたイベント「あまみ群島ワンダートリップ」が阪急梅田本店1階食祭テラスで開催中だ。

 初日から多くの人を集めていたのは黒糖焼酎バー。案内人は、奄美大島屈指の繁華街「やんご通り」近くに店を構える黒糖焼酎専門店「酒屋まえかわ」の二代目、前川健悟さんだ。

 「奄美のお酒といえば、間違いなく黒糖焼酎。黒糖と聞くと、色が黒いとか、黒糖特有の強い甘さを想像されがちですが、蒸留酒なので透明で、味わいもライトなものからしっかりしたものまで、幅があります」

「黒糖焼酎は奄美に暮らす人の魂(スピリッツ)が反映されたもの」と話す前川健悟さん

 奄美群島は、かつて琉球と薩摩藩支配を受け、戦後は米軍統治下に置かれた後、1953年に日本へ返還された。前川さんの祖父は沖縄から奄美大島へ移住し、父の代から酒屋を営んでいる。

 「奄美ではかつて泡盛を作っていたのですが、戦後に黒糖焼酎の生産が始まり、歴史は80年くらい。黒糖焼酎作りの最盛期は2〜3月で、最低1年は熟成させる。長いものは5年から10年の熟成を経て仕上げています」

奄美方言で酒は「せえ」。“酒飲み”を意味する黒糖焼酎「せえごれ」

 酒屋まえかわが取り扱っている奄美全蔵の黒糖焼酎150銘柄の中から、厳選した35銘柄をバーで提供する。前川さんが意識しているのは、酒蔵と飲み手をつなぐ「橋渡し」役だ。

 「黒糖焼酎は奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の5つの島でしか作ることができないんです。各酒蔵の方々も、すごく熱い思いでお酒造りをされている。どの銘柄を選んだらいいのか分からないことも多いので、お酒のストーリーや味わいを伝えるようにしています」

黒糖焼酎の銘柄がずらりと並ぶバー

 本イベントの発起人である横嶋泰葉さんは、大阪府出身。2018年に小学生の娘を連れて「縁もゆかりもない」奄美大島に移住した。奄美だけに特化した催事は珍しく、今回初めて百貨店での開催が実現した。同じく大阪出身で奄美大島に暮らす画家ミロコマチコさんと「移住話」で盛り上がり、催事会場にあしらわれたイラストは直接描き下ろしてもらったそうだ。

「奄美に行ってストレスがなくなった。素直になれる場所」と話す横嶋泰葉さん

 横嶋さんは奄美に暮らしてみて、沖縄と似ているようで「微妙な違い」があると感じているという。「文化的に日本と琉球が合わさった面があり、知れば知るほど面白い。沖縄では島の人は“しまんちゅ”と呼びますが、奄美では“しまっちゅ”。三線の弦や音域も異なります」

奄美大島出身の榮百々代さんの島唄ライブが始まると続々と人々が集まる

 うず高く積まれた新ジャガイモとタンカン。島んちゅにとって、2〜3月に旬を迎える「島の味覚」だ。沖永良部や徳之島は鹿児島県内でも有数のジャガイモの産地。沖永良部島のメークイン「春のささやき」を販売する山内大孝さんは、「サンゴ礁由来の赤土で育てたジャガイモで、ほのかに甘みがあります。皮のまま揚げて食べるのがおすすめ」

沖永良部島のメークイーン「春のささやき」と徳之島の男爵「春一番」を掲げた山内大孝さん(左)と林美樹さん
沖永良部島「ERABU FRIET」の新ジャガのフライドポテト

 奄美大島、喜界島、徳之島などで採れるタンカンは、ポンカンとネーブルを掛け合わせたジューシーな甘みが特徴のかんきつ類だ。横嶋さんは、「そのまま食べることが一番多いですが、最近はスイーツや料理に落とし込んでいる人もいる」と話す。

奄美大島「たっちゃんのジェラート」のタンカンのジェラート

 奄美群島内は自然も多様だ。横嶋さんは、「島はそれぞれ土地の性質が違うので、水も違い、黒糖焼酎の味も全然違ってくる」という。「イモ焼酎は苦手でしたが、黒糖焼酎はクセがなくて飲みやすかった」と振り返る。「タンカンの汁を絞ったり、夏にはパッションフルーツを切って入れたりするのもおすすめ」だという。

前川家総動員で絞ったタンカン果汁で割った黒糖焼酎

阪神梅田本店様1F食祭テラス「あまみ群島ワンダートリップ」は3月3日まで。