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“後継者難倒産”は500件超の高水準 止まらぬ社長の高齢化

 社会全体が高齢化しているから当然ではあるが、後継者がいないことで事業継続が困難になったことによる「後継者難倒産」が止まらない。帝国データバンク(東京)の調査では、2024年度の後継者難倒産(負債1000万円以上、法的整理)は507件で、2年連続の500件超えになっている。

 業種別では、建設業が127件と全体の25%を占めた。建設業は他の業界と比較して労働環境が厳しいといった印象が強く、若年層から就業を敬遠される傾向がある。その結果、後継者候補となる人材が不足していることや技術伝承の難しさが、後継者難倒産が多い要因と分析されている。次いで製造業(88件)、サービス業(87件)などが続いた。

 後継者難倒産が相次ぐ背景には、深刻な社長の高齢化があげられる。帝国データバンクの調査では2024年時点の社長の平均年齢は60.7歳で、34年連続で上昇。後継者難で倒産した企業の倒産時の社長平均年齢を算出すると、2024年時点で69.4歳。過去10年でみても70歳前後で推移している。高齢になれば病気・死亡など「不測の事態」に見舞われるリスクも増加すると考えられ、社長平均年齢が上昇し続けた場合、今後も後継者難倒産は高水準で発生する可能性があり、早いタイミングで後継者の選定・育成を進めることが望まれる。