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萩原利久「河合さんに、大切なことに気付かされた」河合優実「萩原さんとは壁を感じなかった」旬の若手俳優2人が初共演『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』【インタビュー】

 作品ごとに大きな注目を集める若手俳優、萩原利久と河合優実。今最も旬な2人の初共演がついに実現した。それが、コント職人“ジャルジャル”の福徳秀介の小説家デビュー作を原作にした恋愛映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(4月25日公開)だ。

 さえない日々を送る平凡な大学生・小西徹(萩原)はある日、孤高の同級生・桜田花(河合)のりりしい姿に目を奪われる。思い切って声をかけたところ、偶然が重なりたちまち意気投合。急速に距離を縮める2人だったが、突然、小西の前から桜田が姿を消してしまう…。

 平凡な日常に芽生えた平凡な大学生の恋物語は、若き名優2人によって“最高純度のラブストーリー”に昇華。その舞台裏を聞いた。

萩原利久(左)【スタイリスト:TOKITA、ヘアメイク: Emiy(Three Gateee LLC.)】、河合優実【スタイリスト:髙山エリ、ヘアメイク:秋鹿裕子(W)】(C)エンタメOVO

-ドラマチックな後半とは対照的に、小西と桜田の出会いを描く前半は大きな事件が起きるわけでもないのに、2人の日常のやりとりが魅力的で、思わず引き込まれてしまいました。そういう関係性を、お2人の間でどのように作っていったのでしょうか。

萩原 小西は全体的に、自分からアクションを起こすよりも、桜田さんや親友の山根(黒崎煌代)の言動によって心が躍ったり、落ち込んだりして、次の行動の理由が芽生えていることが多いんです。だから、どちらかというと、「聴く」ということを強く意識していた気がします。

河合 私は、小西が桜田に一目ぼれに近い感じで引かれることが、最初の大きな軸だと思ったので、「桜田はどんな人なのか?」ということよりも先に、「小西が興味を引かれる相手」という印象を与えられたらと、まずは外見から作っていきました。自分自身のたたずまいや衣装、メイクなどをそれぞれつかんでいく感じで。

萩原 河合さんの言う「大きな軸」には、僕も同意です。それが全ての原動力なので、そこにうそがあると小西を演じることが難しくなってしまいます。だからこそ、小西の中で桜田さんを絶対的な存在として捉えるため、現場でちゃんと聞いて、見て、感じて、その場でキャッチしたものを漏らさないようにしたいなと。

-もう少し詳しく教えてください。

萩原 極端な話、台本があるので、言葉は音さえ聞こえれば、話を先に進めることはできるんです。でも、日常会話では相手の話をきちんと聞いて咀嚼(そしゃく)しないと、次の言葉が出てこないはずなんです。だから、お芝居でも「聴く」を意識しないと、見逃してしまうこともあるんじゃないかと思って。

河合 そのせいか、実際に萩原さんとお芝居をしてみたら、脚本や原作から想像していたものと、ほとんど齟齬(そご)を感じなかったんです。おかげで、スムーズに盛り上がりを作っていけた感じがあって。1日の中で、2人の間にキラキラした時間が生まれ、それがだんだん濃くなっていき…という変化がすごく自然でした。

萩原 現場で段取りなどを重ねながら、言葉を交わしていく中で、自然とできあがっていった感じですよね。待ち時間に「こうしよう、ああしよう」と相談することも、ほとんどなかったですし。小西と桜田さん同様に、僕らも初対面だったことが、いい方向に作用したのかもしれません。

-大九明子監督からは、2人の関係についてどんな指示がありましたか。

萩原 言葉のトーンやニュアンスについて、監督のイメージと合わなかったときは「もっとこういうニュアンスで」といった指示はありましたが、「こういうシーンにしたいから、こうしてほしい、ああしてほしい」という話はありませんでした。本番前の段取りのときから、自由を与えていただいた印象です。

河合 大九監督の心に響いているときは、笑ったり、泣いたりしてくださるんです。そういうリアクションを見て、私たちは「この空気感で、大九監督が目指しているものと合っているんだな」と答え合わせをしていた感じでした。

萩原利久(左)、河合優実(C)エンタメOVO