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見知らぬ人に食事と優しさを届ける 福島の「お互いさまチケット」が静岡でも登場

 イタリア・ナポリには昔から「カフェ・ソスペーゾ」という粋な習慣がある。バールなどでコーヒーを飲む時に、1杯分余計に支払っておき、金銭的に苦しい人が店に来た時、そうして「保留」(ソスペーゾ)されたコーヒーを飲むことができるという身近で小さな助け合いだ。これと同じ相互扶助の事業が日本にもある。静岡県のNijikake Café(運営:特定非営利活動法人にじのかけ橋)では、食事代に使用できる「お互いさまチケット」と誰でも利用できる「みんなの食料庫」が導入された。

 この「お互いさまチケット」は、NPO法⼈チームふくしま(福島市)が、“お互いさまであふれた街”を目指して取り組んでいる事業「お互いさまの街ふくしま」の一環。この仕組みを導⼊している店では、⾒知らぬ誰かのためにチケットを購⼊して店に掲示することで、チケットを利⽤する人が無料で⾷事をしたり、サービスを受けたりできる。静岡のにじのかけ橋は、障がいのある人を地域の中で支える多彩な取り組みをしており、福島の事業の趣旨に賛同して導入を決めた。見知らぬ人の恩や優しさを感じつつ食事を楽しめるのに加え、恩を受け取ったら別な誰かに恩を送ってほしい、という願いも込められている。